さっき1週間のヨットの旅から戻ってきました。地上にいるのにまだ海の上にいるように揺れている気がしています。
私が初めてヨットに出会ったのは、主人を通じてです。当時自分のヨットを持っていた彼に2回目のデートでセーリングというものを体験させてもらいました。ヨットの知識なんて全くなかった私はアーミーブーツに下から上まで黒ずくめの都会的な格好で登場し、彼を驚かせたようです。それからは週末になるとヨットで遠出をし、次第に私もその魅力を知っていきました。
その後マンハッタンからシカゴに引っ越す時にヨットを手放し、結婚、子育ともう15年以上もヨットにのる機会がありませんでした。それが去年から長男がヨットを少し習い始め、一番下の子も泳げるようになったのを機に、この夏思い切ってヨットを1週間チャーターすることに突然決まりました。
あれから15年経った今というか歳をとった今回の旅で、当たり前だったヨットの素晴らしさをより一層深く感じることができました。若い時は思わなかったけど、海の真っ只中で寝るってことは、最高に贅沢な非日常的なことなんですね。海に照らされた月の光を横目に、夜風に吹かれながらワインを飲んで、波の音をすぐ真横に聞きながら寝る。そしてその波の流れが夜中に変わる瞬間は地球が生きてるって表現がぴったりなくらい、波がぶつかり合ったり渦をまいたり、違った性質の波が衝突するのです。それを耳と体の揺れを通じて感じる瞬間は、ちょっと不気味でもあり同時にとても神秘的でもあります。
あの狭いヨットの中で家族でご飯を食べて、釣りをして、トランプやって、音楽を聴いて、海に飛び込んでっといったよりいっそう密な家族の時間も貴重な思い出となりました。今回のこの旅は、おすすめっといって誰もができるわけではありませんが、どちらかというと自分の思い出として書き留めておきたいと思います。
8月22日、2015年
Tivertin, RI
ヨットをオーナーからチャーターし、いざ出発。
途中の海で1泊
Cuttyhunk Island / カティーハンク島
広さ2.3 km2のこの島は、小さな店が1軒あるだけの本当に小さな島です。夏の別荘として住んでいる人が多いのは事実ですが、年間通して住んでいる人たちもいます。車はほとんどなく、皆ゴルフカートを使って暮らしているっという、ボストンからこんな近いのになんだか信じられないような生活です。本当に何もなくてとても小さな島だけど、ちゃんとペンションもあるので、どこか遠い遠いところへ行ってみたくなった時に来てみるのもいいかもしれません。New Bedford (MA) から1日1往復のフェリーが出ています。
Vineyard Haven ( Marther’s Vineyard Island) / ヴィニヤード・ヘイブン(マーサズ・ヴィニヤード島 )
避暑地としてナンタケット島と並んで有名なマーサズ・ヴィニヤード島の中でも比較的大きいこの港に2泊しながらお隣のオークブラフス(Oak Bluffs )まで足をのばしました。オークブラフスはこの島でもレストランやブティックが多く都会的な町です。見所としてはアメリカで最古の運行している回転木馬や、メソジストが夏の避暑地(キャンプ)として建てたジンジャーブレッドハウスのようなビクトリア建築様式の建物が集結したWesleyan Groveというビレッジのようなものがあって、ドールハウスのようでかわいいです。私たち家族は主にビーチに行ったり釣りをして過ごしましたが…。
Chilmark ( Marther’s Vineyard Island ) / チルマーク(マーサズ・ヴィニヤード島 )
チルマークのメネムシャ港(Manemsha)は入港するなり、すぐにその絵になるようなかわいらしい風景が気に入ってしまいました。漁業が盛んなこの港付近には木造の何軒かの魚屋さんと漁業船用のガソリンスタンド、そして港を出て少し歩くとある数件の店以外何もありませんが、その静けさが妙に居心地よく、2泊しても退屈なんて一度も感じませんでした。ゆっくりと朝ごはんをとって、ビーチへ。飽きた頃に潮干狩り。お昼を食べたら、ヨットのデッキでお昼寝。小さなボートで港の周辺を探検して、魚を釣って、ビーチに座って夕日を眺める。そうそう、言い忘れましたが、ここは夕日が綺麗で人気のあるビーチで、夕方になると突然どこからともなくたくさんの人たちがやって来ます。皆んな静まり返って夕日を眺め、沈んでしまうと拍手喝采です。同じ夕日が場所によってこんなに違って見えるんだなっと当たり前のことに感動してしまいました。ここまで来ると、島にいるんだなっと実感するのは、なぜでしょうか?雑音のない静けさと吹き抜ける風、スローな生活でしょうか?どちらにしてもここは今回の旅のハイライトであり、いつまでもなつかしく思い出すに違いありません。
メネムシャを発ち、帰りもまた途中で1泊し、予定通りの7日目に無事Tivertinに戻りました。7日間毎日聞き続けた波音、こうしてブログを書いている今も、遠い頭の奥底でまだ少し響いています。
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