こんな野菜見たことありますか?これはランプ (Ramp) と言うネギ属の野菜で、ウエストバージニアからメイン州にかけて自生しています。中でもウエストバージニアは密集地で、旬の4月になると各地でランプの料理を振る舞うフェスティバルが行われます。
この野菜、実は私にとってはとても思い出深いもの。1993年、今の主人と知り合って間も無い学生時代、新聞の記事を見てこの野菜とそのフェスティバルのことを知り、いてもたってもいられなくなってしまいました。主人(当時は彼)に話すとすぐに意気投合し、勢いで即フェスティバルに参加することに決まりました。ウエストバージニアの目的地Helvetiaと言う村は思ったより遠く、マンハッタンからなんと10時間もかかりました。しかも途中は人っ子一人店一つない森林の中を何時間も通り抜け、不安になることがしばしばありました。
やっとの思いでたどり着いたその村は、とても小さく、郵便局とジェネラルストア(コンビニ見たいな物)が一緒になった店が1つ、それにペンション(驚くことに)とレストランが1件ずつあるだけ。村の真ん中には小川が流れ、芝生にはバイオレットの花が咲き、ヤギが楽しそうに遊んでいる風景を見ていると、一瞬どこの国にいるのか忘れてしまうようでした。ちなみにここは、スイスの移民がやってきて作った村で、建物の雰囲気や料理がそんな様子を思わせます。今でも誇りに思う気持ちが強く、スイスの旗が村のあちこちで見られました。2010年の調べによると人口は59人だそうです。
村唯一のペンションに泊まって、次の日出かけて行ったフェスティバルからは、本当に楽しみにしていたという村の人々の様子がよくわかりました。それはテーブルに広がったランプのご馳走やソーシャルの時間はもちろんですが、ランプを通して感じられる春の訪れへの喜びも大きいことを実感しました。ランプは春になって最初に芽を出すグリーンらしく、日本で言うとちょうどフキノトウのような感覚なのでしょう。当然ながら皆さん知り合いという感じで、明らかによそ者の私たちは少しシャイな気分でしたが、そんな笑顔の村の人達を見ながらランプ料理を堪能してきました。
それから何年かして、時々雑誌などでランプが紹介されたり、高級レストランのメニューに使われたりするようになりました。ニューヨークのユニオンスクエアマーケットの店先にもその頃から並び始め、ここ何年か前からはボストンでも見かけるようになりました。時期が短いですが、もし目にすることがあれば是非食べてみてください。ネギのようなニラのような味で、そこにほんのりニンニクの香りが加わり、とっても美味しいです。多分これに一番近い野菜は、北海道でよく食べていたギョウジャニンニク(アイヌネギ)だと思うのですが、皆さん知ってますか?
ランプの使い方はニラと似ていて、丸ごとグリルしたり、切ってからソテーしたり、餃子の具に、スープにと色々ですが、せっかくなので、最初は丸ごとグリルすることをお勧めします。春の香り、楽しんでください。
フェスティバル情報:
Helvetia Ramp Supper
ランプが手に入る場所:
Russo’s
- ランプ 適量
- サラダ油
- 塩か醤油
- キャストアイロンのスキレットをアツアツに熱し、油を加える。綺麗に洗って水気を切ったランプをスキレットの上になるべく重ならないように並べる。
- そのまま焼き目がつくまでグリルし、途中でヒックリ返して反対側にも焼き色をつける。
- 好みで塩か醤油ほんの少量で味付けをする。
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