4/12/2013(Thursday)
10:30am: 今週は日曜の夜から仕事の関係でマンハッタンに4泊。そして今はボストンに帰る電車の中です。日本の電車に比べたら居心地悪く、エクスプレスと言えどバスと30分しか変わらないこのアムトラック、先進国とは思えないこうした矛盾した不便さがアメリカらしい…。
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10年以上も前にマンハッタンを離れて以来、ちょこちょこ訪れてはいるものの、こんなに長い間しかも子供無しで滞在するのは初めてなので楽しみにしていましたが、相変わらずエキサイティングな街で期待を裏切りませんでした。どんどん変わっていく新しい部分といつまでも変わらない昔のままの部分がうまく混ざって新しいマンハッタンが築かれていきます。宿泊したホテルもポートオーソリティーバスターミナルの裏と、昔では治安が悪くて考えられなかった場所に建てられたシェラトン系のホテルでしたが、その通りのコーナーには明け方までやっている1ドルのピザ屋、ホームレスシェルター、以前この辺りの風物詩であったアダルトストアーも健在して、開発された中にも昔ながらの顔を見ることができ、なんとなくほっとしました。今日はそんな街から今回の旅で出会ったおいしいものを紹介します。
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4/8/2013(Sunday)
10:30pm: 日曜日の夜10時半にホテルにチェックイン。荷物を置いてすぐに、チェルシーにある私の好きなArtichoke Basille’s Pizza にピザを食べに行くつもりでホテルを出ると、9Avと40Stのコーナーに労働者でいっぱいの1ドルスライスのピザ屋を発見(ソーダーとスライス2枚は$2.75でした)。ニューヨークにはどこでもあるのに、ボストンにはないこういう基本のニューヨークピザ。突然なつかしくなり、急遽予定を変更して、ここでピザを立ち食いすることに。なつかしいピザの味でした。
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4/9/2013(Monday)
8:00am: 次の日、仕事が始まるまでに時間があったので、イーストビレッジまで直行。あいにく時間が早かったり月曜定休日だったりで、自分のお目当てにありつけないで終わってしまいましたが、そんな店たちを紹介します。
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Abraco Espresso Bar: 最近の第3コーヒームーブメントによって現れたコーヒー専門店、Abraco。人が2-3人しか入れない程狭い店内でおいしいエスプレッソやドリップコーヒーを丁寧に淹れてくれます。Ninth Street Espresso と並んでイーストビレッジの美味しいコーヒー屋さんです。
Veselka: 行く予定の店ではありませんが、通りかかったので紹介します。若いころ夜遊びした後によく食べに行った24時間のウクライナ系ダイナー、Veselkaは、雑誌で紹介されてからは奇麗に改装され、ちょっとアップスケールになりましたが、1954の創業以来ダイナーとして地元の人から愛され続けています。イーストビレッジのこの辺りはかつてウクライナビレッジとも呼ばれて、今でもロシアウクライナ系のお店がいくつか残っています。このダイナーも知らないとただのダイナーですが、よーくメニューをみるとウクライナ料理のセクションがあり、ピロシキ、ロールキャベツなどのウクライナ料理やシンプルな野菜スープなどの朝ご飯がおすすめです。
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Yonah Schimmel’s Knish Bakery: 創業1910年と老舗のこの店は、野菜をパイ生地で包んで焼いた東欧系ユダヤ人のクニッシュパイ専門店です。20年程前にこの辺りを散歩しているときに偶然見つけて以来、時々食べたくなりここに買いに来ます。毎日8時から営業と書いてあったので8時過ぎに来てみると、何故だかしまっていました。というわけでクニッシュにも残念ながらありつけず。いろいろな種類がありますが、私はポテトが一番好きです。ちなみに私が今住んでいるニュートンにもBarry’s Village Deli というユダヤ系のデリがあり、比較的美味しいクニッシュが手に入ります。
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あまりお目当てのものにありつけず不機嫌なままビレッジを後に、今度は美味しいベーグルを求めてブルックリンのPark Slope (パークスロープ)へ。Bagle Hole という有名なベーグル屋は、パークスロープの7Avの駅を降りてすぐのところにあります。一番熱々の出来立てをリクエストしたら、セサミベーグルを渡されました。出来立てのベーグルほど美味しい物はないと思うので、それだけでここまできた甲斐があったと思いました。外側がパリットして美味しいですが、もちもちしているという評判のわりには、もっともちもちしていても良いのではっというのが私の感想ですが、この辺りは好みの問題ですね。大人気のベーグル屋さんです。
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帰り道、ニューヨーク市内に4店舗あるコーヒー専門店Cafe Grumpyでコーヒーを買って仕事へ向かいます。ロゴがかわいいですね。定員さんがレジの横で一生懸命スタンプを押していました。
8:00 pm: 楽しい時間はあっという間に過ぎ、もう夕飯時です。夕飯の場所はなんとあのミシュラン3スターのLa Barnardin。シェフEric Ripertがシーフードでモダンなフレンチを演出します。アラカルトもありますが、今日は8コースのテイスティングメニューをワインペアリングで注文。フレンチでもクリームやバターがこってりというのではなく、今流行の和の影響をたくさん受けた私達の口にある味です。
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コースが1品ずつゆっくり運ばれ、ウエイターがその1つ1つとワイン1種類1種類を詳しく説明しながら、3時間以上かけてゆっくり食事をしていきます。まさにエンターテインメントと食事が一体化したようで、ここまで来ると単なる食事とは言えません。どのプレートも時間をかけて作られたいろいろな要素が皿の上でアセンブルしてあり、それらがテーブルに運ばれ、そこでさらにソースがかけられます。その全てがうまく口の中で1つになるのは、まさにアートの世界だなっと思いました。そしてさらにそれにマッチしたワインをいっしょに頂くのはなんと贅沢なことでしょう。
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最近こういったスタイルのレストランが増えていますが、口にした時に味がうまくマッチしないレストランが大半で、よくがっかりさせられます。でも今日はまさにパーフェクトで夢のような一晩でした。そんな夢のような一晩を忘れないように、早速ホームページのメニューを参考にそれらをここに書きだしておこうと思います。ただメニューといっても料理が複雑で一口で説明できないので、どちらかというとそれぞれのレイヤーの説明書きになりますが。
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<MENU>
- コースには含まれていないシェフからのプレゼントは、サーモングラバラックス、ツナのタルタル、マイタケのスープとパルミジャンチーズのクラッカー
- 薄くスライスしたイエローフィンツナをさらにたたいて薄くのばしたもの;フォアグラ付きのバゲット;チャイブとEVO
ワイン:Riesling Kabinett, Trabener Gaispfad, Weiser-Künstler, Mosel, Germany 2011 - ラングスティン(ヨーロッパアカザエビ)のソテー; トリュフ(西洋松露)とカンタレッリ(アンズタケ);長期熟成バルサミコ酢
ワイン:Cremant du Jura, Tissot, Jura, NV - スペイン風グリル焼きタコ; グリーンオリーブとブラックガーリックのエマルション, サンドライトマトソースヴィエルジュ
ワイン:Alvarinho, Vera, Vinho Verde, Portugal 2011 - 天然サーモンの霜降り; “ブラックトリュフのポトフ”
ワイン:Pinot Noir, Talley, Arroyo Grande, California 2009 - 焼きロブスターの”グヤーシュ”風;ライトポテトのニョッキ、パールオニオン煮込み
ワイン:Ribera del Duero Crianza, Pago de los Capellanes, Spain 2009 - 天然ストライプバス;ブータンの赤米, グリーンパパイヤサラダ、ジンジャー赤ワインソース
ワイン:Rioja Reserva, Viña Tondonia Blanco, Lopez de Heredia, Spain 1996 - ココナツのエスプーマ, パイナップルのソルベ, シラントロ
ワイン:Quince Sweet Wine, Laurent Cazottes, France NV - マダガスカル産チョコレートのガナッシュ、キャンディコートピーカンナッツ、ポップコーンアイスクリーム
ワイン:Château La Rame-Reserve, Saint Croix du Mont 2005
美味しいワインもたくさん飲みましたが、今日一番印象にのこったワインがカリフォルニアのPinot Noirでした。とてもクリーミーでリッチなPinot Noirでした。
4/10/2013(Tuesday)
9:00am: 最近のグリークヨーグルトブームで大成功したChobaniがソーホーにオープンしたヨーグルト専門店に続いて、Dannonの店、The Yogurt Culture Companyが去年の7月にグランドセントラル駅前にオープンしました。ファームスタンド風にデザインされた店内には4種類のヨーグルトがあり、それらに好みのフルーツやグラノーラなどのトッピングをのせてくれます。4種類のヨーグルトはDannonの普通のヨーグルトとOikosのグリークヨーグルトで、それぞれが無脂肪とホールミルクの2種類ずつあります。グリークヨーグルトの方は市販のものとそんなに違いを感じませんでしたが、Dannonの普通のヨーグルトがとってもクリーミーでコクがあって酸味もちょうどよく美味しく感じました。作り立てのヨーグルトがここに配達されるのですが、鮮度というのはとても大切なんだなっと改めて実感しました。フローズンヨーグルトもありましたが、最近流行のピンクベリーなどと違い、アメリカによくあるこってりと甘いタイプのもので、特においしいとは思いませんでした。
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1:00pm: お昼には、ブルックリンのRed Hook にあるRed Hook Lobster Pondというロブスターロールで有名な店にやってきました。ここのロブスターロールはとても有名で、天気が良い日にはここのフードトラックがマンハッタンにやって来るのですが、食事時になると行列ができるほど人気があります。かぶりつけない程のたっぷりのロブスター入りで、マヨネーズの量もほどよく、中に挟まれた少量のレタスとトッピングのネギのシャキシャキ感もプラスでした。今までいろんなロブスターロールを食べてきましたが、今日のが一番ボリュームのあるロブスターロールだったと思います。とっても美味しかったです。
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それにしても、近年のウイリアムズバーグ(Williamsburg)の発展以上に急スピードでこのRed Hookが開発されているのにはとても驚きました。20年程前にわけがありここにやってきた時は、全ての店の周りに防備のための金網がまいてあったのを覚えています。今ではこのメインロードにはおしゃれなレストランが並び、Fairwayという人気のスーパーもあります。ハリケーンのダメージの影響であの有名なRiver Cafeがブルックリン橋の下から最近ここにリニューアルオープンもし、益々発展することが想像されます。今度また訪れるのが楽しみです。
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その他の興味深い店としては、Baked NYCというブラウニーがとても有名なお菓子屋さんがあります。こんなロケーションにありますが、実はウイリアムズソノマでここのブラウニーミックスを販売している程有名な店なのです。何種類ものブラウニーが並んでいましたが、私が一番美味しいと思ったのは、Sweet & Salty Brownie と名前の通り甘いブラウニーにシーソルトが入ったものです。またここのお菓子の本も簡単で美味しいアメリカらしいレシピが載っているので、おすすめです。
最後にもう1つのここのおすすめポイントです。それは、自由の女神がとても奇麗にみえることです。マンハッタンのバッテリーパークから見ると横顔になってしまう女神様も、ここから真っ正面に見られます。故郷のパリを見つめている彼女の正面顔を見られるホットスポットです。
ロブスターでお腹いっぱいになった食後は、コーヒーを求めてウイリアムズバーグのBlue Bottle Coffeeへやってきました。ここはコーヒーブームにのって人気がでたサンフランシスコの(今では)コーヒーチェーン店です。マンハッタンにも いくつかの店を構えていますが、ここのロケーションは大きくてここで豆をローストしています。48時間以内にローストした豆のみを使用することをモットー にしている、こだわりのコーヒー屋で、5-6人の社員が真剣に豆をローストしては試飲をしてる姿が奥に見えました。ここのチコリー入りのコーヒーは、チコリーというハーブが入って砂糖とミルク入りでサーブされます。これはニューオーリーンズで良く飲まれるスタイルですが、上手にアレンジしてあるので、珍しいものが好きな方にはおすすめです。
最近、チョコレートの質に興味がある私は、どうしても今アメリカで一番美味しいと言われているMast Brothers Chocolateの店を訪れたく、ここにやってきました。時間があれば、作る過程を見学をさせてもらえたのですが、今回は店内のみを見学しました。ここもBlue Bottle Coffeeと同様、作業場と店内が1つになりカカオの詰まった袋が山積みになったのが見えます。店内の外までカカオの匂いがして、チョコレートへのこだわりを感じました。
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お次はDUMBOというブルックリン橋の袂の地域にある、MastBrothersと反対でクラフト的なチョコレート、Jacques Torresです。ここは板チョコよりもトルフュやドライフルーツやクッキーなどにチョコをコーティングしたもので知られています。マンハッタンにも何件かあるこのお店、一押しはオレンジピールチョコ。リンゴの箱に入ってかわいらしく、お土産にも最適です。もちろんお味の方も、期待通りの美味しい味です。
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4/11/2013(Wednesday)
7:00am: 今日は早起きして、仕事前にローアーイーストサイドのDonut Plantというドーナツ屋さんに直行します。朝7時に到着。ここはドーナツの種類がとても多く、材料もオーガニックで質の良い物を使っていることで知られています。1個は約3ドル50セントと高いですが、1つ1つがずっしり重くまた素材が良質なため、それぞれのグレーズやフレーバーの味の違いがよくわかります。最近のドーナツブームで人気を得た、多分マンハッタンで今一番人気のドーナツ屋さんでしょう。
ローアーイーストサイドはちょっと不便と思われる方、もう1つ別の店舗がチェルシーにあります。チェルシーホテルの入り口の横です。どちらもモダンで奇麗な作りで、座って美味しいコーヒーも飲めます。
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Donut Plant の並びに昔からあるBagle屋、Kossar’s Bialys は名前の通り、bialysで有名です。ビアリはベーグルに比べてちょっと小さめの平型で、中央のくぼみに炒めたタマネギがのせてあり、大抵のベーグル屋 で購入できます。昔時々食べていたので、なつかしくて立ち寄りました。ベーグルよりパサパサしていますが、よく噛むと塩味がきいて美味しいです。この店、 実は最近ベーグル屋トップ5によく入っています。
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9:00am: ホテルに一度戻ってから、Chobaniのソーホー店へ。先にも述べたように、ここはアメリカ発のヨーグルト専門店で、オープンした時はとても話題になりました。ご存知ない方、Chobaniは、今アメリカで売り上げ1番のグリークヨーグルトの会社です。ダノンのお店も良いと思ったのですが、ここはさすがっと単純に感心しました。店のインテリア、ガラスの器、テイクアウトの紙袋などビジュアル的な面で欠けている部分が全くなく、またヨーグルトのトッピングの方も組み合わせがとても斬新でしかも味がそれに伴っています。
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私が一番気に入ったオレンジとチョコレートのコンビはミントの葉が1枚入っているのですが、そのちょっとしたアクセントが全体の味を引き締めています。自分ではできない発想なので、とても参考になりました。そして面白いのは全てのメニューのレシピが店内に置いてあることです。さすがメーカーだけあって、ここで食べなくても実際にChobaniのヨーグルトをスーパーで買って作ってくれても良いといったところでしょうか。レシピを全部持ち帰ったので、ボストンに戻ってこれらを再現してみるのが、今から楽しみです。
*Chobani のメニューやレシピはこちらを。
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5:00pm: 夕飯は今話題の5番街沿いにあるセタイホテル (The Setai Hotel) の2階にあるイタリアン、Ai Fioriです。レストランはホテルに似合ったお洒落でトレンディーな雰囲気で、マンハッタンにしては広い贅沢なスペース使いをした空間です。ですから静かで落ち着いた雰囲気の中、ゆっくり食事が楽しめます。そしてお隣のバーはもう少しカジュアルでアフターアワーを楽しむお洒落な若者たちであふれていましたが、そのノイズはオープンな空間なのに、こちらには聞こえてこないようにうまくデザインされていました。
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食事の方もとても美味しくモダンな創作イタリアンが楽しめます。どちらかというとちょっと脂っこいので、食が細い方はコースで食べるにはちょっとヘビーかもしれません。私はメインの肉や魚をやめて、前菜1つとパスタを1つ注文しました。パスタはトロフィーエという食感が面白いパスタにホタテのみじん切り、イカ墨とロブスターソースで味付けがされ、最後にローストしたパン粉がかけられているものでした。これはとても美味しかったので、近い内に家で再現してみたいと思っています。成功したらまたブログにレシピを載せますので、お楽しみに!
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前菜:
フォアグラトーション(テリーヌ):アプリコットモスタルダ(シロップ煮)、マルコナアーモンド、ブリオッシュ
メインコース:
イカ墨のトロフィーエ:リグーリアロブスターラグー(ソース)、セピア(イカ墨)、ホタテ、ローストしたパン粉
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4/12/2013(Thursday)
1:00pm: こんな風に楽しい4日間があっという間に過ぎて行きました。そして今そんなことやそんな味を思い出しながら、帰途の電車の中、コンピューターに向かっています。もうすでにこの4日間のことが思い出に変わり、随分昔のことのように感じられます。それだけ楽しかったってことですね。マンハッタン、今度はいつゆっくり戻って来れるのでしょうか?それをまた楽しみに、ボストンで頑張ります。
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