酢と言えばミツカン酢というくらい、有名なこの会社は愛知県の半田市という港町に本社があります。半田市は土地柄海運業が発達し、それに伴い醸造、繊維、製塩業などが栄えた歴史的な街で、今でも古い歴史的な建物が残る美しい街です。半田運河沿いには当時の黒板囲いの製造蔵が残り、近くを通り過ぎると酢の香がほんのり匂ってきます。近いが故になかなか立ち寄る機会がなかったこの蔵作りの本社、先日初めて蔵内を見学しました。散歩気分で立ち寄っただけなのですが、普段何気なく使っている酢について学ぶことが多かったので、そんな話を少しシェアしたいと思います。
酢というのは世界でも最も古い調味料の一つで、BC5000年頃にはすでに作られ、日本へは中国から4-5世紀に伝わりました。酢にはたくさんの種類があり、米や麦、トウモロコシなどの穀物が主原料になるものから、ブドウやリンゴなどの果汁が主原料となるものなど様々です。日本の食酢は米酢が主でしたが、江戸時代に作り酒屋だったミツカン酢の創始者が酒粕を利用して作る粕酢を作り、当時江戸でブームになっていた寿司と相性が良いと流行り出し、粕酢は江戸前ずしに欠かせないものとなりました。この粕酢、別名赤酢と言われ、江戸時代は米酢に比べ安上がりだったのですが、今では発酵に時間がかかるため高級品となりなかなか手に入らなくなっています。ミツカン酢ではこの熟成した酒粕だけを原料にした1804年創業以来の粕酢を三ッ判山吹という名前で今でも製造し、通信販売でのみですが購入することができます。
私は興味本位で、この日早速山吹を購入し、すし飯を作ってみることにしました。自然の甘みを含むこの酢で作るすし飯は砂糖が要らないと説明書きにあるので、レシピ通りにほんの少量の砂糖を加えるだけにしました。飴色をし、独特の匂いがするこの酢、実はあまり味に期待はしていませんでしたが、驚いたことにとてもコクがあって普通の酢にはない奥深い味があり、とてもおいしいすし飯にできあがりました。普段はどちらかというと甘目のすし飯が好きな私ですが、この甘みのないすし飯はその分味に深みがあり、おいしくいただけました。安いワインと高いワインの違いみたいなものでしょうか。この美味しさなので、そのまま具無しですし飯だけをいただいてもおいしいし、シソやネギなどの薬味だけを混ぜた薬味寿司などにしても夏の暑い日にはさっぱりしておいしく食べられると思います。
今日はちょっとした知識を得ただけでなく、おいしい商品にも出会えて、私にとっては思わぬうれしい日となりました。興味がある方、この酢はこちらのサイトで購入できますし、また他社でもわずかですが、粕酢もしくは赤酢の名でこのタイプの酢を販売している会社もありますので、目にすることがあればぜひお試しください。お値段は少々高めですが。
今日は粕酢を使った薬味寿司とこの時期にもってこいのシソの葉ジュースのレシピを紹介します。シソの葉ジュースのレシピは近所のJAにあったレシピで酢が少し入るさっぱりした仕上がりです。どちらもこの夏を乗り切るのにピッタリではないかと思いますので、是非お試し下さい。
薬味寿司
材料:4-5人分 | |
3カップ | 米 |
大さじ4.5杯 | 粕酢(赤酢) |
小さじ2杯 | 塩 |
小さじ0-2杯 | 砂糖 |
10枚 | シソ、千切り |
4-5㎝ | 生姜、あれば新生姜、みじん切り |
大さじ5杯 | ゴマ |
飾り用 | ミョウガ、シソ、あさつき、もみ海苔 |
その他の具 | キュウリの塩もみ、しらす、たらこ、サーモンフレーク、漬物、刺身、アボカド、納豆など好みの具 |
作り方:
- ご飯を固めに炊いて、粕酢、塩、砂糖を加えてすし飯を作る。
- シソ、生姜、ゴマをすし飯に加え混ぜる。このまま、もしくは好みで上から飾り用の薬味を上にのせてサーブする。好みの具を加えてちらし風にしても美味しい。*下記の写真は左から、薬味寿司、薬味寿司と飾り用の薬味、薬味寿司としらすにタラコ。
シソの葉ジュース
材料: | |
300g | 赤シソの葉 |
200cc | 酢 |
500g | 三温糖 *白砂糖の場合は量を減らす。 |
1.8ℓ | 水 |
作り方:
- シソの葉をよく洗う。鍋に水を煮立て、シソの葉を加えて葉の色が緑色に変わるまで2分程煮出す。*煮過ぎないように注意。
- 2をこして鍋に戻す。この時にこした後の葉は、苦みが出るのでしぼらない。
- 3に砂糖と酢を加え、15-20分中火で煮詰める。
*ストレートでも炭酸や水で割ってもよい。酢や砂糖の量は好みで調節する。
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