今年の夏、長男と二人でカンボジアへ行ってきました。またなぜ長男と二人でカンボジアか?それには複数の理由があります。・・がその大きな理由の1つは、格安チケットを手に入れるためでした。
毎年日本行きの飛行機代に悩まされる私が、昔よく格安チケットを手にいれるためにしていたトリックが、行き先を日本から近いアジアの国にして日本をストップオーバーにすること。そうすることで日本行きの航空券の値段がグーンと下がることがあります。時間だけある頃はよくやっていました。
子供ができてからはもちろん無理なことでしたが、今年の日本行きは長男と二人きりで、しかも予約しようと思ったチケットが1日待っている間に一人300ドルも値上がってしまったので、久しぶりに東京ストップオーバーのチケットを検索してみました。するとカンボジアを経由することで値段が一人当たり400ドルも安くなったではありませんか。・・という長い理由でカンボジアへ行くことになったわけです。4泊5日と短い旅行でしたが、満喫してきました!
というわけで、例のごとく旅行記です。
6月27日
10:00 am
成田から全日空でプノンペン、そしてカンボジア航空に乗り継ぎ、アンコール遺跡群見学の拠点となるシェムリアップへ向かう。シェムリアップの空港に着くと、ゲストハウスがアレンジしてくれたトゥクトゥクドライバーに迎えられ、ゲストハウスThe Rose Apple へ向かった。もう夕方6時過ぎだ。ライムがたっぷり入ったウェルカムドリンクで迎えられ一息着くと、荷物を置き、すぐに町の中心地へ向かった。日が暮れてしまう前に町を見たかったからだ。
6:30 pm
まずは観光客でごった返すシェムリアップの中心部、パブストリートへ向かう。ここは夜遅くまでレストランやバーがオープンしている繁華街。ゆっくりと店を覗きながら、食料品や日用雑貨が売られているナイトマーケット、シェムリアップ川の周辺を歩き、いわゆる観光地をさっと見てしまうと、いよいよ大好きな夕飯探しに取り掛かる。観光客で賑わったエリアを出て少し歩くと、私好みの地元の人が集まるレストランが簡単に見つかった。今回の旅、こうしたローカルな味に出会うのはそんなに難しくなさそうだ!
熟れてない緑のマンゴのサラダ(タイ料理で有名なパパイヤサラダと同じ感じ)、トムヤンクンのようなスープ、焼きそば、そしてカンボジアビールを頼む。カンボジア料理はタイやベトナム料理と似たような料理が多いが、ハーブの多用と甘い味付けが特徴的である。会計はこれで7ドルとかなり安い。食後はパブストリートへ戻り、次から次へと連なるロールアイスの屋台から1つデザートに買ってみた。冷えた鉄板の上でフレーバーを加えたミルクをヘラでロール状にしたもので、濃厚なクリームを使っていないためコクはないが、さっぱりしていて暑いカンボジアにはぴったりである。美味しかった。
10:30 pm
お腹が満腹になると急に疲れが出てきたので、トゥクトゥクに乗ってホテルへ戻った。もう10時を回っていた。疲れを振り切ってシャワーを浴び、心地よさそうなベッドの上で眠りについた。
6月28日
今回の旅はとにかく日程が短かったので、ゲストハウスにお願いして交通手段をアレンジしてもらっていた。この日の午前はこの旅のハイライトでもあるアンコールワットの遺跡群を見るためにトゥクトゥクドライバーを雇い、午後からはここから1時間ほど車で走ったトンレサップ湖に浮かぶ村コンポン・クレアン(Kompong khleang)を見学するためにタクシーを雇っていた。
4:00 am
アンコールワットでは日の出や夕日を見るのが人気があるようで、私達も頑張って朝4時に起床し日の出を見ることにした。ゲストハウスが持たせれくれたクロワッサンとバナナにヨーグルトの朝ごはんを片手に、トゥクトゥクに乗り込む。
途中チケット売り場で写真入りの1日入場券を購入し、アンコールワットの入り口へ着いたのは朝5時過ぎだった。他の観光客同様、池の周りで朝食を食べながら日の出が出るのを待った。1時間程すると真っ暗な空が少しずつ明るくなり、うっすら紫色の空が広がり始めたのだが、結局雲が多くて日の出は見ることができなかった。こんなに早起きしたのでがっかりしたが、立ち直るとアンコールワットに向かってまっすぐ歩き始めた。いざ12世紀前半建立された世界遺産アンコールワットを目の前にすると、やはりとても迫力があった。
中に入って壁画などをゆっくり見学し、7時になると第三回廊へ上がる階段が開かれたので、急な階段を登りアンコールワットの最頂点に達した。ここから遠くまで続く深い緑と遺跡が全て見渡すことができた。風通しの良いこの場所から見る絶景は飽きることなく、しばらくぼんやりと見つめ非現実的な気分に浸った。
日の出は見ることができなかったが、早起きしたお陰でより神秘的な雰囲気を味わうことができた。マチュピチュの時もそうだったが、こうした偉大な遺跡は人気の少ない早朝に見るのが一番かもしれない。またカンボジアでは早朝の方が涼しく行動しやすいので、やはり早起きして良かった。
アンコールワットを後に、アンコール・トム 、南大門、バイヨン(Bayon)、ピミアナカス(Phimeanakas)、象のテラス(Elephant Terrace)、プレ・ループ(Prerup)、タ・プローム(Taprohm)とアンコールワットの遺跡群を順に回った。この中でもやはり迫力があったのはタ・プロームである。さすが映画「トゥームレイダー(2001年)」のロケ地に選ばれただけあり、この樹木に覆われた遺跡の前に立つと自分も探検映画の主人公になった気がした。
11:30am
遺跡の見学を終えると、周辺にあった観光客用のお洒落な(?)レストランで簡単な食事を終え、ホテルに戻った。そしてすぐに水着に着替えるとプールへ直行した。少し泳いで涼しくなると、今度はプールサイドで昼寝。次のドライバーが迎えに来るまでの3時間、ゆっくりとホテルでくつろいだ。
3:00 pm
すっかり涼み、元気を回復すると、迎えにきてくれた車に乗り込んだ。
今度の目的地は、トンレサップ湖(Tonlesap Lake)という大きな湖にある水上高床式家屋(フローティングビレッジ)が並ぶ村。そこにある家屋の様子や人々の生活スタイルに興味があった。もっと近場にもいくつかのビレッジがあったが、少し遠くてもあえて観光客が少なめのコンポン・クレアンを選んだ。
少し走るとあっという間に周囲の景色が変わってくる。観光客用のホテル街に続いて地元の人達で賑わう街が広がり、そしてすぐにそれが畑に変わっていった。コンクリートの家から掘っ建て小屋のようなシンプルな家が増えて来た。牛が至るところにみられる。これだけ見れただけ、すでに満足感でいっぱいになる。
しばらく行くと道の両脇に竹筒をたくさん並べた屋台が続く。どうしても気になったので、ドライバーに頼んで止まってもらい、2つ購入してみた。これはクロランと言って、竹筒の中にはココナッツミルクで炊いた小豆ご飯が入っている。ほんのり甘く、そして炭火で炊いているので焼いた香ばしい匂いがしてとても美味しい。これでたったの1ドル。息子と二人であっという間に平らげてしまった。プライベートドライバー付きの旅、なんて贅沢なんだろう。好きな時ににこうして止まってもらえるのは本当にありがたい。
車は再び走り出す。やがて細い路地を曲がると小さな村を通り抜けて行く。道の両横に迫った家、市場、ハンモックで昼寝をする人達、この村の生活がよく伺える。子供達が走り回っている。村を完全に通り過ぎ、シェムリアップの街を出て45分くらい経っただろうか、車が突然止まった。コンポン・クレアン村の入り口で、そこに政府の検問所があった。コンポン・クレアンの見学には、着いてからボートでも雇えばと漠然に考えていたのだが(ネットで検索してもあまり情報が見つからなかったので)、なるほど、この村に入るためにはここで入場料25ドル払う必要があり、この料金にボート代が含まれていた。ちょっと高いが、地元の人と交渉しなくて良いので、これはこれで楽かもしれない。お金を払いチケットをもらった。
しばらくするとトンレサップ湖が目の前に広がり、フローティングビレッジが広がる。この村の規模は想像以上に大きく、その景色に思わず息を飲む。生活の違い、あまりにも違った景色に、一瞬自分がどこにいるか考えてしまった。今朝のアンコールワットさえ遠くのことのように感じられた。
ドライバーの案内で待っていたボートに乗り込むと、すぐに出発した。両岸に連なる家々の間をゆっくりと通り過ぎて行く。伊根の舟屋を思い出すこの水の上の生活は、ボートに乗ると全てを見ることができた。大きな鍋をボート代わりに使って遊ぶ子供達、釣りをする男性、ボートで移動しながらの生活品を売る女性、髪の毛を洗う男性、料理を作る老婦・・・。生活全てがこの湖と結びついていた。見る風景全てが珍しく、約2時間のボートの旅もあっという間にすぎて行った。
シェムリアップに戻ると、ドライバーにオススメのレストランを紹介してもらい、そこでドライバーと別れた。ビール、空芯菜の炒め物、カレーをオーダーし、すっかり満腹になると、ホテルに戻った。疲れていたが、気力を振り絞って再度プールへ。泳いで体を冷まし、シャワーを浴びて、速攻ベッドへ潜り込む。長ーい長ーい大満足な1日だった。
6月29日
7:00 am
時差ボケで5時半に目を覚まし、昨日ありつけなかったホテルの朝食を楽しみに待つこと1時間半。7時ジャストに下へ降りた。ヨーグルトやクロワッサン、マンゴのジャム、トロピカルフルーツ、コーヒーなどの洋風な朝食に加え、メニューにカンボジアのチャーハンがあったのでオーダーした。もちろんオープンキッチンでチャーハンを作る様子はしっかり見学。オイスターソースと砂糖で甘く味付けされたチャーハン、とても美味しかった。
8:30 am
今日はプノンペンへの移動日だが、その前に料理教室を予約していた。観光客が多いこの町には料理教室がたくさんあるが、単なるエンターテイメント的なものが多く、自分好みの教室を探すのにはかなり時間がかかった。結果、料理以外に郊外の市場での食材紹介が充実した Countryside Cooking Class を選ぶことにした。8時半にガイドであるベンという若いカンボジアの学生がホテルまで迎えに来てくれ、トゥクトゥクで市場へ向かった。
30分以上郊外へ向かって走ると、地元の人々で賑わっている市場に到着した。野菜、果物、ハーブ、肉、魚、昆虫、プラホック(発酵した魚のペースト)、カピ(エビやアミを発酵したペースト)、ココナッツ、パーム糖などのあらゆる食材から衣料品やキッチン用品などの生活必需品が迷路のように入り組んだ市場に立ち並んでいた。めずらしい食材ばかりで、私からベンへの質問が1時間以上ひっきりなしに続いた。アメリカに持って帰れそうなものはほとんどなかったが、気になった珍しい野菜、ハーブ、果物はなるべく買って食べてみた。もうこの時点で既に大満足のツアーだ。
市場を後に、今度は料理をするため近くにある個人宅へ向かう。メニューは生春巻き、アモックという蒸した魚のココナッツカレー、バナナライスケーキ。屋外にある広いキッチンでゆっくり時間をかけて調理し、風の通る木陰のテーブルでゆっくりと味わった。普段料理をしない息子も自分が準備した料理に大喜びしていた。どれも美味しく、食後の後はハンモックでゆっくり休んだ。そして時間が来るとまたトゥクトゥクに揺られてホテルへ戻った。
1:00 pm
ホテルに戻ると予約していた2時のプノンペン行きバスの予約が取れていないことを発覚。代わりに3時のバスを予約することができたが、取れた席は一番後ろの真ん中にある狭い席が2つ。少し心配だったが、とにかく荷物を詰め、残り時間をプールで泳いで楽しんだ。
6月30日
3:00 pm
バス会社のオフィスに到着する。想像していたより古い12人乗りのミニバンの中はかなり狭く、地元の人達でいっぱいだった。これで約5時間の旅。旅慣れてない息子のことを思い、一時はどうなることと思ったが、疲れていたせいでうつらうつらしていたら意外にもあっという間にプノンペンについてしまった。
8:20 pm
トゥクトゥクでホテルに到着すると、もう夜8時過ぎ。シェムリアップのゲストハウスよりアップグレードしたホテルはとても素敵なブティックホテル(それでも一泊40ドル)。フロントデスクで15歳以下は宿泊できないと言われて一瞬焦ったが、契約書にサインをすると14歳の息子も無事受け入れられた。ウェルカムドリンクの後に部屋へ案内される。とっても素敵な部屋!
部屋でゆっくりしたかったが、お腹が空いていたので夕飯探しのためにホテルを後にした。さっきトゥクトゥクから見えたホテルの前に並ぶバッファローの串焼き屋へ入った。これはバッファローの肉を干してジャーキー風にした肉をグリルしたもの。これを手で咲きながら塩とライムにつけて食べる。私も息子もすっかり気に入ってしまった。食べ方を教えてくれた隣のグループと話が弾んだ!
10:30 pm
ホテルに戻ってひと泳ぎしてから、ゴージャスな部屋へ戻り、幸せな眠りについた。
6月31日
7:00 am
朝食時間になると真っ先に下に降りて、プールサイドのとっておきの席に座った。クロワッサンやヨーグルト、コーヒー、フレッシュジュースに、カンボジアのチキンライススープをオーダーした。さっぱりしていて美味しい。朝からとても豪華。
カンボジアに来てから毎日予定がぎっしり詰まっていたので、今日はのんびり過ごすことに決めていた。国立博物館などあったが、アンコールワットをしっかり見学しているので、午前中はお土産探しにロシアンマーケットをまわり(大したものは無くてがっかり)、その後少し迷ったがトゥール・スレン虐殺博物館へ向かった。2年9か月の間に14,000~20,000人の無実の人々が収容され殺された言われる元高校であるこの博物館。カンボジアの悲しい歴史を改めて目前にし、こんな歴史が二度と繰り返されないで欲しいという思いでいっぱいになった。この後ホテルまで歩いて帰る途中北朝鮮の領事館の前を通りかかり、なんとなく気分がまた少しブルーになった。
12:00 pm
ホテルの真正面にある屋台で焼きそばを食べてからホテルに戻り、午後はプールサイドでゆっくり過ごした。そして夕方になって少し涼しくなると、トレンサップ川に面した観光客で賑わうおしゃれなエリア、シンワット・キーを散歩した。
5:00 pm
ホテルのサービスの一環であるトレンサップ川のクルーズに参加するために、シンワット・キーのすぐ近くにある船着場へ向かう。遊覧船の上から2時間程トレンサップ川とメコン川の向こうに広がるプノンペンの街を眺めながら、ビールを片手に夕涼みを楽しんだ。期待はしていなかったこのクルーズ、意外に楽しかった。
7:00 pm
クルーズの後は、夕飯探しにナイトマーケットへ向かった。ここでは屋台から好きな食事を買って、一面に敷かれたゴザの上に座って食べるというシステムのようだ。既にたくさんの人達がゴザの上で食事をしている。私達も何品か買って、ゴザの上に座った。人々はとてもフレンドリーで、隣に座った学生さん達と仲良くなって、気分はすっかりローカルになってしまった。一方でこんなところで馴染んでしまっている私を、どうして良いかわからないという態度で見ている息子(笑)。旅の仕方を少し学んでくれたかな・・。
9:00 pm
楽しい気分のままのんびり歩いてホテルに戻る。カンボジア最後の夜。ひと泳ぎした後プールサイドのバーで、パッションフルーツのモヒートとパッションフルーツのジュースで最後の夜そして二人旅の成功を祝って乾杯した。
7月1日
7:00 am
今日もプールサイドのテーブルでゆっくり朝ごはん食べると、チェックアウトの前にもう一度プノンペンの街歩きを楽しんだ。
10:00 am
そして早めにホテルに戻ると、チェックアウトの12時までプールで泳いだ。実はフライトは夜の10時なので、今日ほぼ丸一日あった。
12:00 pm
チェックアウトを済ませて荷物を預けると、ゆっくりと昼食をとり、そして午後からはカンボジア王宮でのんびりと時間を過ごした。
5:00 pm
早めにホテルに戻るとホテルの許可を得て、またプールでひと泳ぎし、シャワーを浴びてからタクシーで空港へ向かった。
実は今回カンボジアへ旅したもう1つの理由は、この秋から高校へ行く息子が巣立ってしまう前に発展途上国の存在を知ってもらいたかったのと、そしてそれ以上に私が長い年月かけて学んだ旅のコツを伝えたかったという理由があった。バックパック旅行にしては少し贅沢だったが、その国の人々や文化をリスペクトしながら実際にその土地の人々とコミュニケーションを取ることの大切さ、少しは伝わったと思う。無事旅を終え、ほっと一息、ビールを片手に機内一人で祝杯した。
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