何年か前から手に入りやすくなった金柑。どんよりしたボストンの寒い冬には、店頭に並ぶあのオレンジ色がとても貴重な輝きのように感じられます。独特の甘さと苦さのコンビが、小さい頃から好きだったけれど、渡米してからすっかり遠ざかっていました。リンゴやみかんと違って、食べなければ食べないで過ぎて行くものですよね。
何年か前(いや、10年以上前かもしれません)、多分マンハッタンだったと思いますが、ある店先でふっと見かけ、久しぶりに口にした日のことを覚えています。すごく懐かしい味がして、忘れていた味に出会えたようなうれしい気分になりました。味覚の記憶というものは、すごいものですね。
その頃からでしょうか?金柑がアメリカのマーケットに浸透し始めたのは。広東語からとった「kumquat」と言う名で、今では本当にどこのスーパーでも簡単に手に入るようになりました。
時々買ってはそのまま食べたり、甘露煮を作ったりと楽しんでいます。甘く煮た金柑はそのまま、煮汁は紅茶やお酒に混ぜたりと、こんな些細なことですが、ボストンの長い冬の楽しみでもあります。
金柑の甘露煮というのはとくにめずらしくはないですが、今日ここで紹介する作り方は、一度に甘露煮と金柑ピールが楽しめる方法です!その違いはというと、丸ごとでなくスライスした金柑を甘露煮にすることです。スライスして作った甘露煮の半分はそのまま煮汁ごと容器に入れて保存し、残りの半分はラックの上で乾燥させ、砂糖をコーティングしていただきます。乾燥加減は用途や好みによっていろいろですが(詳細は作り方を)、保存せずにそのまま食べるなら7−8時間後にはおいしいピールが出来上がります。他のオレンジやグレープフルーツに比べると、長時間煮なくて良いので簡単にできます。
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- 金柑1lb (450g) 、洗って種を取り除き4枚にスライス
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- 水1/2カップ
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- 砂糖 1カップ
- 蜂蜜 大さじ2杯
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- <甘露煮>
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- 鍋に金柑以外の材料を入れて沸騰させ、金柑を加えて強めの弱火で柔らかくなるまで10分煮る。そのまま冷ましてから容器に入れて冷蔵庫で保存する。
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- <金柑ピール>
- 甘露煮の水気を切り、ラックの上に広げて、最低7−8時間乾燥させる。好みで砂糖をまぶしていただく。捕捉:7−8時間したら、そのままもしくは砂糖をまぶして食べると既に金柑ピールらしく甘露煮とは違った食感を楽しめます。ただこの状態で砂糖をまぶしたものを保存すると、金柑にまだ残っている水分が時間と共に出てきて、砂糖が溶けてしまいます。短時間しか乾燥させてない金柑は冷蔵庫で保存して、食べる都度その分だけ砂糖をまぶすのが良いでしょう。乾燥させれば乾燥させただけ、まぶした砂糖がそのままの状態に保てる時間が長くなりますが、1日乾燥させたものでもしばらくすると砂糖が溶けてきます。最低丸2日は乾燥させて水分を完全に飛ばさなければ完璧なピールは作れないかもしれません。そうする場合は、1日乾燥させてまだなんとなく水分がある状態の内に砂糖をまぶし、そのままもう1日乾燥させると砂糖もくっつき安く良いかと思います。部屋の温度や湿度によっても変わってきますので、その辺りは加減して下さい。説明が長くなりましたが、本当はあまり難しく考えずに作ってもらいたいです。どう転んでも失敗はなく美味しくいただけるのですから。実は我が家の場合、ラックで乾燥中に家族が適当につまんでいきます。それで2日くらいするとほとんどなくなって行くのですが、その時点で余りがあれば砂糖をまぶしてガラスの容器に入れそのままキッチンカウンターの上にクッキージャーのように置いておきます。するとあっという間に無くなっています!
その他の食べ方の例としてこんなものがあります(下記写真参照):
左からダークチョコレートに金柑ピール、ダークチョコレートにマスカルポーネチーズと甘露煮、ショウガ茶に甘露煮の煮汁。
楽しんで下さい!
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