最近 Coffee Cupping (コーヒーカッピング) という新しい言葉を知りました。これは主にコーヒーのバイヤーが買い付けの際に、一度にたくさんの味や香りを比べるのに便利なので使用されていたテースティングの方法でしたが、最近では家庭で cupping を楽しむ人も増えているようです。
これはどのように行うかというと、まず小さなコップに入った粗めに挽かれた豆の香りを嗅ぐことから始まります。そしてその次は少量の湯で豆を湿らせ、さらにその香りを比べます。そして今度はひたひたの湯を注ぎ、3-5分間コーヒーを抽出したら、小さなスプーンで上に浮いた泡を横によけながら香りを嗅ぎ、そして泡を取り除いた後に最終段階のテースティングに入ります。これはスプーンでコーヒーをすくい、スープを飲むように唇を横につけ、そしてここからはスープと反対に、音をたてておもいきり吸い込むようにコーヒーを口にします。こうすることでコーヒーが口中に広がりより味が判断しやすくなるわけです。ここでコーヒーそれぞれが持つ独自の口あたり、酸味、香り、余韻などを比べていきます。それぞれの種類のテースティングが終わるごとに前に置いてあるコップに入った水でスプーンを濯ぎ、次のコーヒーのテースティングをします。
私がcupping を知ったきっかけは、Cunter Culture Coffee というボストンの Somerville にあるコーヒーロースターが、毎週金曜日に社員が新しく入荷したコーヒーを試飲するためのcupping に参加したのが最初でした。この会社はDurham というノースカロライナ州が本社の会社で良質のコーヒーをフェアトレードで輸入し、主に豆の販売とコーヒーに関する教育を行っています。全米に8つのトレーニングセンターを持ち、そこで趣味から専門的なレベルまでの幅広い内容のクラスを定期的に行っています。そしてその一環として毎週金曜日に行われる cupping があります。これは誰もが無料で参加できるというとても良心的なサービスなので、トレーニングセンターがあるアメリカの都市に住んでいる方には是非おすすめです。またホームページからコーヒーもオーダーできます。ここのアフリカ、特にエチオピアのコーヒーは美味しいと思います。
初めてcupping に参加して時は、やり方がわからずなんとなく戸惑いましたが、同時に新しい経験で興味深いものでもありました。とてもおしゃれでモダンなスペースの中、1時間以上にわたってフレッシュな炒りたてのコーヒーを何種類も味見できるとは、なんとも贅沢なことででしょう。味の方も様々で、コーヒーの味について改めて考えさせられました。一番衝撃だったのは、最後に淹れてもらったエチオピアコーヒーのエスプレッソで、機械が良いせいかコーヒーが持つ全ての味がうまく抽出されており、フルーティーな香りが強調された少しお茶を思い出すような今までに経験したことのない味でした。
余談ですが、前回参加した時はコーヒーの味が淹れ方によってどう違うかというのを試しており、いろいろな方法でコーヒーを淹れてくれました。その時に、そこのある社員の一番のお気に入りのドリッパーで Clever / クレバーという会社のドリッパーを知りました。このドリッパーはお湯を入れても下から出て行かず、始めはこの状態でコーヒーを抽出し、それが終わるとドリッパーをコーヒーサーバーの上に乗せます。そうすることにより、コーヒーが自然に落ちていく仕組みになっています。実は先日これをアマゾンから購入したので、近いうちに試してみたいと思っています。それにしても、トルココーヒーに始まり、フレンチプレス、エアロプレス、ケメックスまでいろいろなコーヒーの淹れ方や道具があるものですね。いろんな意味で迷います。
サンフランシスコ発のコーヒーサードウェーブの影響により、新しいロースター、カフェなどが続出しているアメリカですが、コーヒー好きの私としてはうれしいニュースです。それぞれがよりユニークにするために日々努力しているので、これからこのコーヒーカルチャーがどのように進展していくかがとても楽しみです。そして私の中でのコーヒーカルチャーは、毎週金曜日の cupping を小さな楽しみとして今後も続けて行くことになりそうです。
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