数週間前、ポルトガルへ行く機会に恵まれました。特にポルトガルでなくても良かったのですが、いろんな巡り合わせでこうなりました。そう、全ての始まりは、こうでした。
13歳になる長男がこの6月にミドルスクールを卒業し、9月から高校生になります。高校生活は4年間あるというものの、一緒に暮らすのがもう4年少しかと思うと、この短い時間に何ができるかという焦る気持ちでいっぱいになってきました。そして思いついたのが、この卒業旅行。と言っても家族5人で行くには時間とお金がかかるので、母にお願いして、長男だけを連れて行ってもらうことに。この夏に2人で富士山にも登っているし、私が連れて行くよりも良い経験になるのではという期待もありました。目的地はというと、学校でフランス語を選択をしている彼は、もちろんパリ。
当初は母と息子が2人で行く予定でしたが、せっかく母が日本から来ると思うと、私もつい一緒に行きたくなってしまい、主人にオーケーをもらい、途中パリで合流することになりました。でもなぜか数日後出発のチケットの値段が大幅に高く、どうしようかと検索しているところ、見つけた格安チケットがTAP Airのポルトガル経由便。そしてこのエアライン、無料でポルトガルにストップオーバーをさせてくれると言うことで、迷わずリスボンで合流することになりました。
という長い理由で、そうポルトガルに行くことになったのです。そしてせっかくポルトガルに行くのだからと理由をこじつけ、待ち合わせより数日早めにポルトガルへ行くことに決め、ひょんなことから、2泊3日ですが、久しぶりに1人旅行をすることになったのです!
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とここまで書いてから、ブログが途中になっていました。
あれから半年以上も経ってしまいましたが、その時の旅行記、アップします。
2月18日
6:00 pm
母と息子を見送ってローガンエアポートへ。無事出発。明日は同じフライトで自分が出発だと思うと、ワクワクしてくる。
2月19日
6:00 pm
昨日と同じ場所・同じ時間。今日は私の番だ。初めて乗るTAP Air、期待してなかったが、機内は広々とし食事も割と美味しく驚いた。魚とチキンの選択まであり、そして何よりワインが美味しいのが嬉しい。しっかり平らげ、寝不足続きだったせいか到着寸前の軽食が運ばれてくるまでぐっすり眠ることができた。約5時間半のフライトもあっと言う間だった。
2月20日
6:00 am
早朝(ボストンの真夜中)にリスボンに到着し、そのまま1時間後のフライトで、ポルトガル第2の街ポルトへ直行する。色々迷ったが、1人の時間をポルトで過ごすことにしたのだった。
9:00 am
ポルトに到着し、いよいよ旅が始まる。バックパックを担いで外に出た。昨日ボストンの自宅を出る時に、ATMカードの有効期限が切れていているのに気づき、急遽古いシティバンクのカードと手元にあった200ドルをつかんで家をでた。しかし(なんとなく想像はしていたが)空港のATMでシティバンクのカードは使えず、母に会うまでこの200ドルの現金しか手元にないと言う心細い状況に陥ってしまった。そう言えば最近の旅行、お金のことはめっきり主人に任せていたっけ・・・。とにかく手元にあった200ドルを両替した。こうして両替にとまどり、携帯が充電できるのを待っていたら、せっかく朝早くついたのに、空港を出る時にはもう10時半を回っていた。気分がブルーになる。
10:30am
公共バスに乗り、とりあえず中心へ向かう。今回の滞在は、Airbnb(エアビーアンドビー、サイトを通して現地の人から家やアパートなどの滞在施設を借りるシステム)で借りた一軒家の一室。鍵をもらう時間が午後2時なので、まだかなりの時間がある。そこでインフォメーションでもらった地図に沿って、歴史建造物を見ながら街を歩くことにした。
ポルトガルは長い間アラブに支配されていたため、街を歩いているとその影響がいろいろな所に見られる。例えば迷路のような古い路地は、モロッコのフェズを思い出す。一般的なヨーロッパの路地とはまた一味違う。
途中ハリーポッターの映画のワンシーンのモデルになったという本屋さんを通りかかる。本屋に入るだけで入場料が5ドル近くかかる上、行列だ。子供達がいたら入りたがっただろうな・・。
ふらふらしてたら、目の前に有名なアルマス聖堂を発見。建物全面を覆った見事なアズレージョの青がとても綺麗で、正にポルトガルと聞いてイメージする建物である。とても素敵だった。
今度は坂道を下りドウロ川の方へ向かって歩くことにした。しばらく行くと、細い路地から急に明るい光が差し込み、ドウロ川が見えて来る。街はひっそりと静かだったのに、ここまで来ると人でいっぱい。
大きな橋を渡り、反対側のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア地区へ渡った。オレンジの瓦屋根の町並み全体が見渡せ、対岸から見るポルトの景色は、なかなかのもの。ここまで来る価値ありだ。
1:00 pm
そろそろ鍵の受け渡し時間が近づいて来たので、宿泊先のある旧市街中心へ向かって歩き出す。途中通り過ぎたボリャオン(Bolhão)市場をちらっとのぞいて、時間つぶしに雑貨屋や食料品店に入ったりしながら、宿泊先にたどり着いた。そして大きなドアをノックをすると、優しそうな男性が迎えてくれた。中に入ると部屋や裏庭を案内してくれ、見どころなどを親切に教えてくれた。想像以上に大きな家。入り口のドアは重い分厚い一枚板で、鍵はもちろん絵本に出て来るような大きな黒い鉄製。この古いドアの鍵の開け閉めが難しそうでちょっと不安になる・・(実際にあとで開けれなくなって困っていたら、通りがかりのオーナーが助けてくれた・・)。
2:00 pm
荷物を置いて少し休憩すると、外へ繰り出した。お腹が空いていたので、B級グルメと言われているフランセジーニャを食べに、カフェサンチアゴへ立ち寄る。私のような一人旅の旅行者でいっぱいのカウンター席に並んで座り、フランセジーニャとビールをオーダーした。フランスのクロックムッシュにヒントを得たというこの料理は、かなりのボリュームでお腹にとてもヘビー。食べた後に後悔したが既に遅く、食後のエスプレッソを求めてまた街歩きを開始した。せっかくポルトガルにいるのに、夕飯は食べれそうもない。もっと計画的に食べれば良かったな。
6:00 pm
ボストンを出発してから熟睡していないため、今日は早めに部屋へ戻ることにした。途中近所のスーパーでワインとポテトチップスを買って、裏庭で一息ついた。隣の家の庭のオレンジの木を見ながら、のんびりとワインを飲んでいると、やっとポルトガルに来たことを実感した。2月だというのに日本の春のような暖かさで、とても気持ち良い。
それにしてもイモが大好きなこの国、スーパーのポテトチップスだってとても美味しい!たったの1ユーロのロゼワインだって最高。これなら200ドルでやっていけそうだ(笑)。1日終えて、少しホッとした。
部屋に戻ってシャワーを浴び、ヒーターをつけた。日中は暖かいが夜はやはり少し冷える。そしてさっきのロゼワインをまたグラスに注ぎ、今回の旅の失敗のことを考え始めた。2つある。
1つは、お金が下ろせなかったこと。200ドルもなかったら大変なことになっていた(後から旦那に聞いたことだが、クレジットカードから借りることができたそう)。そしてもう1つは、宿泊先のこと。今回は一人なので賑やかなシェアが良かったのに、オフシーズンなためこの大きな建物に一人で滞在することになってしまった。これは希望していたことと全く逆で・・、治安もわからない見知らぬ地のこんな大きなアンティークな家に夜一人でいると少し不安になった(今時の家だったらまだましだったかもしれない)。そんなわけで、疲れているのに何度も夜中に目が覚めてしまい、寝苦しい夜を過ごすことになってしまった。こんなのは、本当に久しぶりだった。
2月21日
ポルトにやって来た最大の理由は、ポートワインの産地を訪ねることと、ワインの産地を流れるドウロ川に沿って走るローカル線に乗ることだった。ポルトのカンパーニャ駅から終点のポシーニョまでの約3時間半の旅は、その両脇に広がる風景で知られていた。しかし電車の本数が少なく不便なため、大抵の観光客はツアーを利用するので(一部区間電車に乗ると言うツアーもある)、この路線の情報集めが思ったより大変だった。確かに電車だと降りてからワイナリーまでも不便だし、ツアーのが便利だとは思う。でもどうしてもこのローカル線のことが気になってしまい、結局あてにならない情報を元に、ポシーニョまでではなく2時間先のワイナリーに近い途中の町ピニャン(Pinhão)まで行くことに決めた。
6:15 am
・・と言うわけで、まだ薄暗いが、7:15amの始発電車に乗るため早起きし、地下鉄で始発駅のカンパーニャ(Campanhã)駅へ向かう。カンパーニャ駅に着くと、余裕を持ってきたためかなり時間がある。駅前周辺を歩いて、唯一開いていたカフェでコーヒーとクロワッサンの簡単な朝食をとってから、待合室で電車が来るのを待った。
7:15 am
やって来た電車に乗り込み、いよいよ出発である。中はガラガラで、観光客っぽい人は1人もいない。かなりオンボロなローカル線という雰囲気いっぱいで、少し不安になった。音も立てずにゆっくりと電車が走り出す。ポルトの街を通り抜け、都会から田舎の風景に変わり、そして気づいたらブドウ栽培の段々畑の景色が続いていた。本当に葡萄畑しかないのだが、川に沿っているせいか、いつまでも飽きずに車窓から見えるこの景色を楽しんだ。
9:30 am
気づいたらいつの間にか目的地ピニャン(Pinhão)に到着していた。駅にはオレンジの木がたくさんあって、ポカポカ暖かく、陽の光がとても気持ち良い。あらかじめ予約をしてあったワイナリーのツアーまで時間があったので、日光浴しながら町をゆっくり歩き、途中のカフェでコーヒー休憩した。田舎だと思って期待してなかったせいか、ポルトガルに来て一番美味しいエスプレッソだった。他に特にやることも無く、しばらくここで時間を潰し、そして橋を渡ってゆっくりと川沿いの道をワイナリーへ向かった。
11:00 am
Quinta De La Rosa ワイナリーに到着するとまだ少し時間があったので、ここの庭をゆっくり歩いた。ホテルも併設されているせいか、庭に手入れが行き届きとても綺麗である。11時半になり、いよいよワイナリーのツアーが始まった。参加者は他にイスラエル、フランス、ドイツから来たカップル達。試飲を含めた約2時間半のツアーはとても興味深く、ツアー後の試飲はワインのせいかみんなでワイワイ盛り上がり話も弾んだ。迷ったけど、やっぱり来て良かった。
4:30 pm
元来た道を戻り、駅前のカフェでツナサンドを食べてから電車に乗った。夕方には無事にカンパーニャ駅へ到着する。
そしてそのまま電車を乗り換え、世界で最も美しいと言われるサン・ベント(São Bento)駅まで行き、駅構内にある2万枚ものアズレージョを見学した。ただこの駅を見学するだけでなく、実際に自分がここで下車したと思うと、より素敵に見えた。
明日はもうリスボンへ移動するので、残った時間ひたすら街を歩いた。
夕飯はピリピリチキンの専門店を探し当てて、行ってみた。建物は日本の居酒屋のように細長く、座っているのは中年の男性ばかりで少し迷ったが、思い切って入ると、静かな2階席に案内された。こちらは2階や地下など、通りから見るより店内が広いことが多い。
メニューをみるとタコのグリルを発見し、思わず当初の予定と大幅に変更しタコをオーダーしてしまった。チキン専門店なのにタコを食べたこと、後で後悔したが(かなりチキンで有名な店のようだ)、その時は無性にタコが食べたかったのだ。ケールとソーセージのスープ、サラダ、ビールもオーダーし、食後はお腹がはちきれそうだったが、気になっていたエッグタルト専門店へ向かった。今夜しかチャンスがないから仕方がない。いざ食べてみると案外すんなりと食べられ、エスプレッソで今夜の夕飯を締めくくった。
8:30 pm
ホテルに戻って、シャワーを浴びる。今日はこんなに疲れてるのだから寝れることを祈って、大きな部屋のベッドの上に寝転んだ。
2月22日
7:00am
今日はリスボンへの移動日。荷物を詰めると、昨日同様カンパーニャ駅へ向かう。電車が来るまで、昨日とは別の駅前カフェでゆっくり朝食を食べた。
12:00 pm
事前予約で一等席を二等席の値段で手に入れた今日の電車は、Wi-Fi付きでとても快適。あっという間にリスボンに到着してしまった。
駅を出ると目の前にテージョ川が見える。グーグルによると、Airbnbで予約した宿泊先まで徒歩30分。天気も良いし観光がてらゆっくり歩いて行くことにした。リスボン最初のこの景色をしばらく眺めて記憶に焼き付けると、川を背にして迷路のような丘へ向かって歩き始めた。
入り組んだ石畳の路地が素敵で、途中何度も止まって写真を撮ってしまう。そんなことをしてたら、宿泊先のアパートまで30分のところ1時間以上もかかってしまった。
1:00 pm
アパートの場所を確認してしまうと、鍵の受け渡し時間までしばらくあるので、お昼を食べることにした。カジュアルなレストランのランチメニューは、手書きで外に貼ってある場合が多く、日本を思い出す。暇だったので、そんなメニューをグーグル頼りに1つ1つ訳してみた。一見豊富に見えるメニューだが、魚料理など違いは魚の種類だけで、調理法は全て揚げるかグリルだった。どれもご飯とサラダがついてくる定食になっていて、値段は10ドル前後。どの店にしようか迷った末、一番賑やかで庶民的な店に入り、イワシのグリル定食と白ワインを頼んだ。シンプルなのに良質なオリーブオイルのせいか、味がしっかりしてとても美味しい。ポルトガル料理は素朴で日本人の口に合うとよく聞く言葉の意味がわかった気がした。
2:00 pm
待ち合わせの2時少し前にレストランを出て、隣のアパートのベルを鳴らした。案内され中に入ると、部屋はベットルームとキッチン付きリビングルームとの2部屋で、全体に白く統一されたシンプルで素敵なスペースだった。サイズもちょうどよく、場所も最高で、自分の選択に大満足だった。
3:30 pm
しばらくゆっくりしていたら、いよいよ息子と母がパリから到着した。久しぶりに合う息子は、母と意気投合していて、2人はいつの間にかとても仲良しになっているのがよくわかった。同時に2人の緊張が一気に緩んでホッとしているのも伝わってきた。しばらくお茶を飲みながら、パリの話をたくさん聞かせてくれた。
4:30 pm
再会で盛り上がった後は、いよいよリスボンの街へ繰り出した。今日は川沿いのベレン地区観光。目的はもちろん、エッグタルトだ。エッグタルト発祥の地と言われるジェロニモス修道院のすぐそばにあるパスティス・デ・ベレン(1837年創業)というカフェで、エッグタルトを食べるのを楽しみにしていた。店の前には行列ができているものの店内は広いため、すぐに座ることができた。ウエイターが来ると迷わずエッグタルトとエスプレッソをオーダーした。サクッとして驚くほどあっさりしているのに驚く。ポルトガルという国の食文化を少しずつ理解し始めている私・・。
ジェロニモス修道院を通り、エンリケ航海王子の500回忌記念「発見のモニュメント」にたどり着く。ポルトガルの華やかな航海時代はここから始まったんだ・・。そんなことを考えながら、マリーナの横を通りベレンの塔までやって来た。ヴァスコ・ダ・ガマの世界一周の偉業を記念して建てられたという塔。間も無く沈もうとする夕日を見るために、たくさんの人達が待っていた。私達も一緒になってその瞬間を待った。ラッキーなことに天気もよく、素晴らしい夕日を見ることができた。
7:00 pm
そろそろ夕飯の時間だ。グーグルマップを見てた時に目についたアフリカ系のタパス料理店 Alto Do Bairro へタクシーで直行する。道が細くて、タクシーが入れず、最後は歩いてレストランへ。地元の人から評判が良く混んでいたが、かろうじて最後の席に座わることができた。サングリアと一緒に、少しエスニック風にアレンジされたポルトガルタパスを何品かオーダーして、ゆっくり食事の時間を楽しんだ。
帰りはウインドーショッピングをしながら、賑やかな街をのんびり歩いた。アパートまで着くとなんだかまだ遊び足りない気がして、すぐ下のブエノスアイレス(何故だか)という名のパブに寄って、ワインを片手にまたパリの話で盛り上がった。
10:00pm
部屋に戻ってシャワーを浴びると、お互いいろんな意味でホッとした気持ちは隠せず、あっという間に深い眠りについた。
2月23日
7:00 am
リスボン二日目の今日ももちろん早起き、急ぎ足の旅だから仕方ない。外がまだ薄暗い中、アパートのすぐ裏手にあるロシオ駅へ向かう。今日はシントラ周遊パスを使って、シントラ、ロカ岬、カスカイスを回ってくるコースを予定していた。窓口で周遊券を買い、入って来た電車に乗り込む。
8:30 am
シントラに着くと、見所を巡回する始発バスまで時間があったので、駅前のカフェで朝食を食べ、少し街を歩いた。リスボンやポルトなどの大都市とはまた違った、こじんまりと可愛らしい街並みが続いている。朝食後のデザートに、この街ではかなり有名なピリキータというベーカリーで、名物のケイジャーダというチーズタルトとトラヴェセイロというアーモンドクリームのパイを買った。程よい甘さでサクッと美味しい。
お腹がいっぱいで気分がよくなった頃に、始発バスがやって来た。オフシーズンだというのにかなり混んでいたが、無事に乗ることができ、ムーアの城跡へと向かう。今回はいくつかある名所の中から、ムーアの城跡とペーナ宮殿を見学することにしていた。
8世紀前後にムーア人が築いたという城跡は、険しい山の中にあり、城壁や塔、抜け道などが点在している。その様子はまるでドラゴンクエスとの世界とどこかに書いてあったがまさにそうで、息子はかなりはしゃいでいた。
ムーアの城跡の後は、その上にあるペーナ宮殿へ。イスラム、ゴシック、ルネッサンス、マヌエルなどの複数の様式が混ざっているらしく、全体にアンバランスな感じがしてちょっと変だが、逆にそれがユニークで良いのかもしれない。上から見る景色は絶景。ムーアの城跡も見渡せた。
シントラ観光を終えると、駅前から別のバスに乗って、ユーラシア大陸最西端の地として知られるロカ岬へ向かう。クネクネ曲がりくねった道を走り、山を越えると海が見えてくる。バスから降りて岬の絶壁に立つと、見渡す限りの海と空が広がる最高の眺めが広がっていた。そしてそれがユーラシア大陸最西端であると思うと、より一層感慨深かった。もちろん、だからこんなに人気があるのだろう。
ロカ岬を後に、今度は海辺のリゾート地として有名なカスカイスへ向かう。終点のターミナルに到着すると、まずは空腹を満たすために市場へ向かった。時間が時間なだけにもう市場は終わっていたが、併設されたシーフードレストランで食事をすることができた。新鮮なシーフードが並んだ冷蔵庫から、レーザークラムとアサリにタコを選んで調理してもらった。魚が新鮮なせいか、とても美味しく、ビールがすすむ。揚げたてポテトチップスも非常に美味だった。
食事を終えると、おしゃれなお店やカフェ、レストランが並ぶメインストリートを通り抜けて、海岸に向かった。ここはリゾートいっても、私だけかもしれないが、なんとなくひと昔前のリゾートと言う印象を受け、だから逆に懐かしくて良かった。防波堤に座って、そんな懐かしさに浸りながら、いつまでも行き交う人達を眺めていた。そしてカフェで一息つくと、カスカイス駅へ向けて再び歩き始めた。ここからリスボンまでは、ありがたいことに電車が通っている。
6:00 pm
1日中移動しながら随分遠くまで来た気がしたけど、電車に乗ると今朝スタートしたロシオ駅まで、あっという間だった。今日1日大きな青空の下でゆったりとした時間が流れていたからか、駅を出るとリスボンのテンポが早く都会的に感じられた。
アパートに戻ってお茶を飲んで、少し休憩した。そして元気を取り戻すと、目の前のレストラン(DUQUE)へ向かった。ここは通りからキッチンが見えるので、料理をしている様子を見ることができる。実は昨日その様子をずっと眺めながら、今日はここで食べようと決めていた。昨日しきりに作っていたシーフードのリゾットと、グリルしたマグロのサラダをオーダーした。たっぷりのオリーブオイルとシンプルな調理法で食材の味を生かした料理が多く、今日のモダンにアレンジしたポルトガル料理は大成功だった。帰る頃には外で待っているお客さんもたくさんいた。
アパートに戻り、昨日買ったワインを飲みながら、今日1日を振り返る。とても同じ日とは思えない今朝の出来事を思い出し、いかに今日が充実した1日であったかを改めて実感する。日々こんな風だったら、なんて幸せだろう・・。
2月24日
8:00 am
最後の日。今日はゆっくり目的もなく街をブラブラとする日。だからホッとする。・・が、細い路地を走るあの有名なトラム28は、混むと聞いていたので、あまりのんびりもしてられず、ネットで読んだオススメの乗り場、マルティンモニスへ向かう。切符を購入しようと地下鉄の駅に降りると小銭がなく、お釣り目当てで駅のスタンドでエスプレッソをオーダーした。こんなところにフルサービスのカフェがあるのもすごいが、ここのエスプレッソが美味しいのにはもっと驚いた。マルティンモニスに着いたが、電車は全く混んでおらずに、すんなりと座れた。
出発すると、まるでテレビの映像でも見ているような可愛らしい街並みが両側に広がった。コーヒーを飲みながら操縦する運転士と顔馴染みの老人が話をしている姿が目に入って、なんだか懐かしい気分になってくる。しばらく行くと、生活感溢れる下町っぽくなって来たので、下車して、地元の人達で賑わっているカフェに入って朝ごはんを食べた。
トラムの後は、リスボンの街を一望できるというサン・ジョルジェ城へ登った。赤煉瓦屋根の街が目の前に広がる。よく見るリスボンの景色。
ここからは、ただ迷路のような路地をひたすら歩き続けた。方向感覚を何度も失いながら、ウインドウショッピングしたり、カフェに寄ったり、大好きな時間だった。何時間も歩いて、すっかり満足したら、お腹が空いてきた。そこで、何か美味しいものにありつけるのを期待して、リスボンで最も有名なリベイア Time Out 市場へ向かうことにした。
1882年に開設され2014年にリニューアルされたこの市場は、生鮮食品の市場に加え充実したフード・コートがあり、ポルトガル料理が手軽に楽しめるため、観光客と地元の人で賑わっている。私たちもその人混みに混じって、まずは生鮮食品をいろいろ観察した。イチゴをつまみながら、ポルトガルの食材を丁寧に観察する私。生物なので持って帰れないのが残念と思いながらも、チーズ屋の前を通ったら我慢できずに、無殺菌乳のチーズを数種類買ってしまった。匂いをかいたらすぐに無殺菌乳とわかるくらいすごかったが、きちんとラップをしてジップロックに入れて持ち帰ることにした(結局無事にボストンへ持ち帰り、家族と美味しくいただきました)。
フードコートに移動すると、これまたすごい数のレストランが並んでおり、目移りしてしまう。人が食べてるのを横目で見ながら、結局タコのリゾット、タコのフライ、そして伝統的なポルトガル料理の1つであるバカリャウ・ア・ブラスをオーダーした。ポルトガル料理は、バカリャウと呼ばれる干しダラを使った料理で知られており、その数は1000通り以上と言われている。バカリャウ・ア・ブラスは、その中の定番で、干しダラとフレンチフライを卵でとじた料理である。どれもとても美味しかった。
食後は、コメルシオ広場を通ってテージョ川沿いにまたアルファマの方へ向かう。この辺りはカフェが多く、いつも賑わっている。私達もアウトドアカフェに座って、しばらくのんびりと行き交う人々を眺めていた。そしてアパートに向けてまた歩き出した。
リスボン最後の夜を楽しむためにアパートでしっかり休憩して、さーまたお出かけ。近くにあるのにまだゆっくり見てなかった、リスボンの繁華街の一つで、高級ブランド店が並ぶシアード地区を歩いた。古くは書店街として有名だったらしく、今でも街角で古本市を見かけることができる地域だ。そういえば最近アメリカでも見かけなくなった光景かもしれない。昔はニューヨークのこんな古本市に立ち寄っては、料理の本をよく見てたこと、思い出した。
今日の夕飯は、特にどこと決めてなく、通りから見て賑わってるレストランを選んだ。1階は満員なので地下に案内される。チキンスープから始まり、豆のご飯と魚のフライ、チキンの串焼き、そしてどうしても名前が思い出せないポルトガルの名物料理を注文した。かなりの量を注文したのに、食べ盛りの息子が全部残さずに食べてくれた。私に似て食べることが大好きな彼、パリから始まって今日まで毎日いろんな物が食べれて、夢のような毎日だったに違いない。良い思い出になってくれるといいなぁ。
レストランを後に、アパートへ向けてゆっくり歩き出す。最後の夜が無事完了した。
2月25日
7:00 am
昨日営業時間をちゃんと確認しておいた近所のベーカリーで朝食をとる。最後にこの味をもう一度・・ということで、朝から、エッグタルト。安定した味である。
朝食を終えると、アパートに戻って荷造りをし、再びバックパックを背負う。忘れ物が無いことを確認すると、アパートの扉を閉めた。
地下鉄に乗って空港へ向かう。ファーマーズマーケットで買った臭いチーズとワインを片手に、息子2人と旦那のまつボストンへの帰途についた。
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