恒例のヨットの旅、今年も行って来ました。毎年いろんなところに行ってますが、今年はメイン州に戻ろうと意見が一致。サウザンドアイランドとの愛称があるくらい小さな島が点在しているメイン州の魅力は、数え切れないほどの無人島で、誰もいない静かな入江を簡単に見つけられることができます。そんな理由もあり、ここはヨット好きの間では憧れの地。島が多すぎてスピードが十分に出せないので、迷惑なモーターボートがいないというのも理由の1つかもしれません。
いつの頃からか夏の恒例行事になっていたこの旅行、子供が成長しバイトなどで忙しくなった今、こんな機会を改めて貴重に思えます。また同じことを毎年繰り返しているので彼らの成長ぶりもよくわかり、続けていて良かったなと実感しました。
いつものチャーター会社がなくなってしまったうえに直前での予約というのもあり、唯一残っていたヨットは例年よりずっと高級な(高い)ほぼアンティークに近いヨット。オーナーがサンフランシスコで10年暮らし、そしてその後世界中を旅したという本格的なヨットでもあるため、いつもチャーターするオンボロと違い、キッチンからトイレまで全て使いやすく、小さなスペースなのにとても快適に過ごすことができました。値は値の価値がありますね。すれ違う人たちに素敵なヨットですねと何度も声をかけられました。
ということで、2022年のヨットの旅の様子、簡単に綴ってみました。
2022年夏、ヨット旅行記
初日はロックポートというボストンから車で4時間ほど北上した街にあるマリーナを出発し、2時間と近場にある名も無き無人島近郊に停泊。この夜、ヨット旅行にしては珍しく隣で停泊していた家族に誘われ、無人島に上陸してキャンプファイヤーをしました。大人がビールを飲んでいる間、子供たちはスモワしたり夜の島を探検したり。
おしゃべりに夢中になってふと気付いたら、自然が作り出す幻想的な景色に囲まれていました。想像力を掻き立ててくれる無人島の夜は、時間と場所の感覚がなくなるほど。大人になってもワクワクするそんな不思議な魅力を持ってます。
次の日はチャーター会社に勧められた島ハリケーンアイランドを探検。かつては花崗岩採石場として栄えたという島ですが、今ではそんな面影はなく、子供達の科学やリーダーシップを目的としたプログラムを主にした教育施設として使われています(高校生までOKのサマーキャンプ良さそうです。興味のある方、チェックしてみてください)。この日もたくさんの子供たちが昼食後のお皿洗いをしていました。
無人島がメインの今回の旅で、唯一訪れた暮らしのある漁師町 Isla au Haut(発音の仕方が分かりませんが、アーカディア国立公園の領域にあります)。こんな遠く離れた島の生活をのぞくのもなかなか興味深いです。小さな郵便局や生活用品店などがあったり、図書館の前にはパイコンテストの看板があったり・・。普通に来たら何もない田舎と思うのでしょうが、ヨット生活をしているから便利で都会的に感じられました。帰りには牛乳と卵まで手に入って、みんな大喜び。食卓が豊になりました。
無人島での過ごし方
基本無人島に着くと、まずは島を歩いて探検します。それから最高の場所を選んでピクニックし、あとはやることがないから水切り。本当に何もないから子供達、この水切りに夢中になります。そしてたいてい石を探しながらきれいな貝や奇妙な生き物を見つけ、またしばらくその場で興奮し・・・、とこんな平和な時間を過ごします。
今回の無人島の中で、1番気に入ったのがバスハーバーの近くにある小さな島。理由はここから見える景色や、森の中の感じ、子供達の反応、その日の天気、蚊がいるかいないかとか、至って根拠は乏しいですが・・。この日はとても気持ちよく、水に反射する光が眩しくきれいで、みんなご機嫌。砂浜さえないから水切りもできず、ずっと海を見ながら話したり笑ったり。時に選択肢がないって、気分をリラックスさせてくれれますね。
海での収獲
今年も自然の幸をたくさん手にしました。まずはイカリ⚓️に引っかかってきた昆布。乾燥させてからカリッと揚げたりスープの出汁にと、とっても重宝しました。カニは茹でて、サバは刺身とグリル、小魚はフライに、クラムはパスタに、ペリーウィンクル(海貝)はガーリックソテー、そしてウニはもちろんそのまま食べました。こうして海で見つけたものを食べるのって、アドベンチャーしてるって感じが増してくるのもあり、みんな常に目を光らせて食べるものを探しくれます。
ヨットの1日
ヨットでの典型的な1日はこんな感じ。
本来自然の中で過ごすなら早寝早起きが鉄則ですが、ティーンエージャーが3人もいるとそうもいかず、朝はのんびりです。これはこれで静かな自分の時間を過ごせるので良いですけどね。まずはコーヒーを沸かし、風が強くても雨でもデッキでコーヒーを飲みます。
みんな起きたら朝食。
満ち潮のタイミングや良ければ、潮干狩りをしたり、小魚をとったりすることも。
そしてやっと海へ出ます。1年に1回の経験しかない子供達ですが、それなりに覚えていて手伝ってくれます。
途中のランチはみんなの楽しみの1つですが、作る側にとっては大きなチャレンジ。というのも移動中に下に降りると酔いやすいので、いかに短時間で準備できるかが大切になります。風が強く波が荒い日は揺れるのでさらに大変で、料理をひっくり返さないように素早く作る必要があります。かれこれ25年はやっているので、大分コツを得てはいますが、結構なスキルが必要です(笑)。
海上ではイルカやアザラシ、空から舞い降り潜って魚をとる鳥、魚の群とそれを追っかけるかもめの集団、罠を仕掛けてるロブスター船など、普段目にしない海の上の生活に遭遇します。
突然波が強くなったら他のボートが近づいている来ている、ヨットのスピードが落ちたら風が止まってしまったか方向が変わったというように、自然の変化にも敏感になります。特に潮の満ち引きが変わる時は、地球全体が動いてるような感覚があって、生きている地球と触れ合っているそんな気分になることもあります。
目的地に到着したらアンカーを下ろしてヨットを固定させ、目的地に上陸して探検します。その後はヨットの上でのんびり。セーリングしている時間が一番好きな主人に対し、子供たちはここから寝るまでの時間が一番のお楽しみ。泳いだり、釣りしたり、ボートで探検に行ったりと、兄弟仲良くはしゃいでいます。
夕暮れ時のカクテルアワーは、家族全員がリラックス。運がよければ、最高の夕日を見ながらなんてことも。
日が暮れたら中に移動して夕飯。限られた食材を使って作るシンプルな夕飯ですが、やっぱり食べる時間はみんな大好き。
そして食後は夜ふけまでトランプやゲームで盛り上がります。途中休憩がてら、スモアを作ったり、月や星を眺めたり、海を棒でかき回してバイオルミネッセンスを見たり。
・・と1日はこんな感じで過ぎていきます。
最終日
7日目の最後の朝は、お昼までにヨットを返す必要があるため、みんな少し早起き。移動中の朝食になります。
珍しく霧がかかってどこまでも真っ白は神秘的な海、慎重にセーリングしながら、正午少し前、無事にロックポートに戻ってきました。無事にマリーナに入ると、安心感と達成感からか、みんなどこか満足そうな横顔。
ヨットをきれいにして鍵を返すと、まだ揺れている感覚と共に帰途につきました。
リフレッシュされた気分がいつまで続くか分かりませんが、9月から始まる新学期に向けて多少充電された気がします。新しい思い出も増えたしね。
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