昨日(7月26日)帰国し、今朝は時差ぼけのため5時半に起床。バケーションから戻ったばかりにありがちの無力感に襲われながらも、ミルクティーを片手にコンピューターに向かっています。何か書き始めれば少しはやる気になるかもしれないと、ためていた旅行記をぽつりぽつりと綴ります・・。
毎夏日本へ帰国していますが、今年はいつもとは大きく違っていました。それは自分を待つ人が日本からいなくなってしまったこと。4月に母を亡くし、日本へ帰る大きな意味をなくしてしまっての帰国でした。
またそんな状況と重なって、コロナと終わる見込みのないキッチン改装工事で先の見通しがつかない料理教室や、秋から巣立って行く息子のことを始め、周囲のいろんな環境が必ずしも良くはない方向に変わりつつある今、新たな人生の選択を迫れている、そんなプレッシャーを感じている時でもありました。
こうした理由もあり、今回の日本滞在は頭を空っぽにして無茶苦茶なことをしたいと言う思いがどこかに存在していました。例年までは母と過ごすことが大きな目的だった日本滞在も、自分を待つ人がいなくなり、良く言えば自由になったのだから、それを悲しむより(悲しむ時間がないように)全て忘れて好き勝手にして、自分が何を感じるかその先にあるものを見てみたかったのです。
と言うことで、今年はスーツケースではなくバックパックを背負っての日本。そしてお供は三男のヘンリー。ずっと楽しみにしていたおばあちゃんとのんびり過ごす夏休みに代わって、私探しのアクティブな旅に付き合わされたのでした。
そんな今回のわけあり旅の始まりは、東京と福岡での料理教室。
それでは、旅行記始まります。
– 2022年夏 I –
ボストンから日本へ
6月28 – 29日
日本到着翌日に企画していた料理教室。出発当日早朝からフライトの遅れのメールが入り、20分しかない乗り継ぎのモントリオールでは猛ダッシュとハラハラさせられたけど、奇跡的に予定通り日本入り。出発前に「ギャンブルが好きだね」とコメントする主人(苦笑)に見送られ、無事日本にやってきた。
東京料理教室
6月30日(木)
6:30 am
日本着陸してまだ半日ちょっとの朝6時半、目覚ましに起こされ目を覚ました。
いよいよ今日は東京での料理教室。朝ごはんを食べ食材の準備をすますと、地下鉄を乗り継いで神保町の会場へ向かった。
9:30 am
お手伝いをしてくれるいつものコアメンバーと30分早めの待ち合わせ。もう慣れたもので、再会を喜び合いながらも手先は下準備に取り掛かっている。東京での同窓会件料理教室は実際はおしゃべりが中心になるので、料理の大部分はレッスン前にほぼ出来上がっているのが本当のところで、1ヶ月ほど前から、このメンバーと何度も話し合いや当日のシュミレーションを重ねてきたのだった。
結果から言うと、この教室、今年でもうかれこれ6回目になるだけあり、まるで息がぴったり合ったオーケストラかのように、ガヤガヤごった返す中料理の説明から試食まで時間内にスムーズに終えることができた。これは明らかに自分1人では不可能なことで、当日活躍してくれたメンバーにはただただ感謝の気持ちでいっぱいになる。
肝心なクラスの方も、コロナにも関わらずたくさんの方々が集まってくれた。個性的で自分を持って輝いている自慢のみんなが、この日この会場から発信していたパワーは、きっと東京一。一人一人とゆっくり話せないのが残念だったけど、グループでおしゃべりして楽しそうなのを遠目で見ながら嬉しく思った。歳ですかね、これ(笑)?
忙しいところ、こうして参加してくれたみんなに会えて、今の自分にとても励みになったし元気づけられた。改めて、ありがとう。
0:20 am
料理教室を終え、そのまま夜行バスで新宿から弟家族が暮らす愛知県の実家へ移動する。昼間の興奮からか、寝不足なのに深夜になっても疲れさえ感じなかった。
それにしてもこのバス代、一人たったの2千円。新幹線も良いけど、のんびり旅行にはこんなのも悪くない。
愛知県の実家ステイ
7月1日(金)
6:00 am
名古屋駅前でバスを降り、JRローカル線で実家へ。荷物を置いてシャワーを浴びると、近所の喫茶店にモーニングを食べに向かった。母がよく友達と行っていた喫茶店で、母が残していったコーヒーチケットを使って、ヘンリーと二人で飲むコーヒーは複雑な味がした。
午後からは義理の妹と市役所を回って書類の手続きをしたり買い物したり、のんびり過ごした。
奈良県室生寺〜大阪
7月2日(土)
週末の今日は、弟の家族と父の永代供養先である奈良の室生寺へお参りへ。両親が生きている間に二人で選んだ室生寺は、自然に囲まれた静かな潜みにあり、どこか神秘的な雰囲気に包まれている。400段ほどの階段を上り詰めた山頂にある奥の院は、いつ来ても気持ち良い風が吹き抜け、気分を落ち着かせてくれる。うまく言葉にできないけど、死を素直に受け止められるような気持ちになる。来年の春には、母もここで供養されるんだね。
11:30 pm
お参りの後はニンニクと白菜たっぷりで知られる天理の彩華ラーメンでランチし、奈良の中心街にあるホテルにチェックイン。一休みした後は、近鉄で大阪へ。目的なしの街歩き。
夕飯は結局奈良に戻って、おでん屋「竹の館」へ。出汁がしみた20種類以上のおでんとなぜだかうどんという組み合わせのこの店、いつきてもほっこりした気分になる。今日はなぜだか、おでんの味が胸にしみた。
奈良公園
7月3日(日)
小雨の中、ヘンリーのために、やっぱり初心者(小さい頃には来ているが)には外せない大仏と奈良公園の鹿を見て、帰宅する。それからそうそう、岡西の揚げたてコロッケもいただいて。
初の博多へ
7月4日(月)
6:00 am
実家での週末を終え、今日からいよいよ3週間のJRパスを使っての旅が始まる。早朝から必要な食材をバックパックに詰め込むと、料理教室のある博多に向けて出発する。新幹線の中で義理の妹が作ってくれたおにぎりと、昨夜用意しておいたオクラの醤油漬けにきゅうりで朝ごはんを食べていると、少しずつ旅行気分が高まってきた。
10:30 am
博多駅に着くと予約してあった駅前のホテルにチェックインし、駅周辺をちょこっと探査。初九州ということで、何を見ても楽しい。一癖ありそうな喫茶店で一休みしてから、迷いに迷って(色々あり過ぎて)明太子入りのフランスパンを買ってみた。とりあえず博多名物を1つでも口にしたら、ほっとする。美味しそうなものがたくさんあって目移りするが、ランチの予定が入っているので我慢し、柳川へ向かった。
1:15 pm
ランチは、懐かしい料理教室のメンバーと。ガストロでも紹介したここ茶餐 無垢は、古民家を改造したスペースで月替りの世界のコース料理と中国茶を売りにしており、この日のテーマはメキシコ料理だった。次から次へ運ばれてくる料理、知っている料理だけに味からプレゼンまで全て興味深い。アンバランスな全ての要素がうまく調和され、他では真似できない独自な料理を創り出しているのは、オーナーがフラワーデザイナーというのもあるからだろう。楽しく美味しく、そして学びのある時間だった。
6:30 pm
柳川から戻り、ヘンリーと二人で夜の博多へ繰り出した。中洲から天神の賑やかなエリアを歩いたけど、結局博多駅周辺の居酒屋での夕飯。賑わっている1軒目の店は売り切れ商品が多く、2軒はしごしてやっと鶏皮の焼き鳥(グルグル巻)、マサバの刺身、ごぼ(う)天、棒餃子、ごまさばなど、気になっていたものにありつくことができた。・・と言っても、食べたいもののほんの一部に過ぎないけど。
10:00 pm
ホテルに戻ると、コンビニビールを飲みながら天気予報とにらめっこ。なんと今夜から明日にかけて九州に台風が上陸するらしく、既に教室のキャンセルがあった。せっかく食材をかついでここまで来たのに・・と残念な気持ちなっていると、何があっても絶対行きますというメールを何件も受け取り励まされる。どんなに少人数になったって良い。明日は楽しもう!という気分になることができた。
福岡料理教室
7月4日(月)
6:00 am
目覚めと共に即座に天気予報をチェックすると、台風はこの辺りを逸れていた。雨すら降っていないではないか!
8:00 am
荷物をまとめてホテルに預け、いざ料理教室の会場へ。会場横のスーパーで買い出しし(自分が何故かういている気がしたのは、バックパックのせいだろうか・・笑?)、お手伝いをしてくれるメンバーと会場で合流する。簡単な下準備。
10:00 am
時間になると、ボチボチ懐かしい顔が登場する。簡単な挨拶を交わし、話したいことは山ほどあるけど、とりあえず皆でキッチンへ。東京のクラスとは違い少人数なので、ここでは、みんなで実際に料理をしながらのおしゃべり(料理教室なので当たり前なんだけど(笑))。お互い知らなくても、もちろんあっという間に意気投合、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。結果延長料金を払い、終了したのは予定の1時間後の3時半だった。
2010年の初回の料理教室から帰国したばかりという方まで、全く違う時期にボストンで暮らしたみんなが、この会場で1つになったのを見ていると、教室の12年の歴史を目前にしているようだった。そしてそれぞれがその時その時の忘れかけていた記憶をよみがえらせてくれ、胸がいっぱいになった。本当に今日はありがとう。
3:30 pm
料理教室が無事終了する。食材、特にテースティン用のチョコレートが溶けないようにと、それはそれは大事に守り続けてきたけど、やっと解放された。軽くなったバックパックを背負って、ティファニーブルーと赤が可愛い西鉄で博多駅へ戻る。
5:30 pm
ホテルで荷物を受け取ると、九州新幹線で鹿児島へ向かう。
いよいよヘンリーと2人の気ままな旅が始まった。つづく・・
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