長男13歳、次男11歳、三男が9歳になって、子供達と一緒にできる事が増え、なんだか急に子供達の成長を感じています。例えば夕飯での家族での会話だったり、一緒にお茶の時間を楽しめるようになったり、外食を楽しんだりと些細なことですが、少しずつ大人の仲間入りができるようになって来ました。
そこで前回マンハッタンに行った時、思い切って子供に合わせずに、私達が思うままのスケジュールを組んでみることにしました。たった一泊でしたが、大人の旅、楽しくこなして来ました。これはその時の様子です。
金曜日(学校休み)
10:00 am
ゆっくりと朝食を済ませ、マンハッタンへ向けて出発。
2:00 pm
マンハッタン到着。駐車はもちろんアッパーウエストサイドの路上駐車。以前住んでいただけに、この辺でスペースを探すのは、得意中の得意。そして今回は偶然にも昔住んでいたアパートがある74丁目にスペースを発見する。ここはプリスクールがあるから、午後のこの時間は車の出入りが多く、意外に穴場なのはよく知っている。子供達に私たちの思い出のアパートを指差してみせ、昔住んでいたところと簡単な説明をした。思えば、何回もマンハッタンには来ているのに、そんな具体的な話はしたことなかったなぁ。でもそっか、だってつい最近までは、ほんの子供だったんだから・・。
ここからは地下鉄でホテルのあるミッドタウンへ向かう。一番安く見つけたホテルは、なんとタイムズスクエアの真横。エレベーターに乗って部屋に着くと、そこからみる景色に興奮する子供達。なんだかんだでゆっくりしてたら、もう夕方の4時。早速早めの夕飯に向かう。予定は、ウエストビレッジにあるジョージア(グルジア)レストランだ。地下鉄に駆け込んだ。
5:00 pm
今回は私達大人中心ということで、地下鉄を降りてビレッジに着くと、私と主人の気の向くままに歩いた。ツアーガイドのように、目に着く場所や物を子供達に説明しながら、歩いた。以前はどうせわからないと思って、そんな説明などしたことなかったが、この日は大人扱いだから地図を持たせて案内した。相変わらず人が多い。いつも激戦しているW4のバスケットコートを通りかかると、子供達が真剣に見入ってる。ここまで来てと思う一方で、確かにこの迫力はうちの近所にはないな。ハングリー精神を感じるこの迫力。
サリバンストリートを上がって、ブリーカーストリートを曲がると、見えて来た・・お目当てのレストランOld Tbilisi Gardenが。私が今一番気になっている料理、南コーカサスにある国ジョージアの料理だ。ボストンにはこのタイプのレストランは無いので、マンハッタンまでやって来た(その内絶対にジョージアに行くのはわかってるのに、そんな日まで待てなかった・・)。ニューヨークにジョージアのレストランは3、4件あるが、ここが一番メニューが豊富な気がして選んだ。初めてなので、ヒンカリというラム肉のダンプリングや、ハチャプリという卵いりのパン、豆のシチューなど、基本的な料理を選ぶ。見た目はよくある西洋料理だが、食べてみるとクルミとニンニクをたっぷり使い、微かなフェヌグリークの香りがするからか、やはり少し異国の味に感じられた。どれも美味しく大満足の私。そして何より、子供達が私と同じくらい1つ1つの料理に興味を持って食べてくれたのが、嬉しかった。特に豪華でもない素朴な料理なのに。親の影響って大きんだな〜と改めて実感した夜だった。
7:00 pm
夕飯後はここから20分くらい歩いて、ミートパッキングエリアにあるホイットニー美術館へ向かう。ここは、MOMAと同様、金曜日は無料(寄付)で、夜10時まで開いているから、オススメの場所だ。現代アートに興味がなくても、イタリアの建築家レンゾ・ピアノが手がけたこの空間にいるだけでも、心から満たされた気分になるし、それにも興味がなくても、各階から最高の景色が楽しめる。ハイライン、フリーダムタワーからニュージャージーまで、面白いアングルからマンハッタンを眺めることができる。そして何より現代アート美術館は、作品の数が少なく広々している場合が多いので、子供達にはちょうど良い。しっかりアートに浸り、かつ子供達が飽きる前に脱出成功した。
10:00 pm
ミュージアムのせいか、すっかり気分が盛り上がっている私達家族。このままホテルに戻るにはつまらない気がしたし、ちょっと一杯飲んで行きたくなって、何気なく興味本位で子供と一緒にいけるバーを検索してみた。するとなんと、私と主人の思い出のバーがいきなりトップに出て来て驚いた(思い出の話は別のブログに)。
こんな思い出深い場所を子供達に紹介するのは、皆んなが大人になった時かと漠然に思ってのに、それがあっけなく今日やって来た。久しぶりのバーは、何も変わっていない。子供達用にバージンカクテル、そして私達はビールをオーダーし、外のベンチに座った。昔はこの建物のすぐ横までハドソン川が流れていたという話をしながら、壁に書かれたそのサインを指して見せた。夜風が気持ちのよい夜、隣で酔っ払ったロシア人に家族写真を1枚とってもらった。自称写真家のロシア人、なかなかの写真を撮ってくれた。思い出の1枚になるな、きっとこれ。
11:00 pm
ホテルに戻るため、地下鉄駅があるソーホーへ向かって歩く。私と主人は一杯飲んで気分がよく、子供達もシュガーハイで気分が盛り上がり、このままホテルにまだ戻りたくない気分になる。私の頭の中で、何かできることはないかとアイデアが巡り巡る。そうだ、BlackTap!ハンバーガー屋だけどクレージーなミルクシェークで有名なこの店、確か近くにあった。ここでデザート食べて帰ろう。2年前に来た時は2時間待ちと言われたのを覚えている。でもさすがにもうこの時間だし、そんなブームも冷めていると思った。店の前までくると、それでも何人か待っていたが、15分ほど待ったら入れた。カウンターに座って、シェークを1つオーダーした。この大きさを見て、興奮する子供達。・・確かに美味しいが、2時間待ちの価値があるとは思えなかった。インスタ映えが一番の理由なんだろうな・・。でも確かに、思い出にはなるかなぁ。
11:45 pm
地下鉄に乗って、タイムズスクエアへ戻った。まだまだたくさんの人で賑わっている。部屋に戻ってシャワーを浴び、眠りにつく頃は、真夜中をとっくに回っていた。良いんだか悪いんだか、最後の最後まで、計画通りの大人の日だった。
土曜日
10:00 am
ホテルを出ると、散歩がてらパブリックライブラリーの裏手にあるブライアント・パークまで歩く。見違えるように綺麗になったな・・なんて呟いていると、Breads Bakeryのキオスクを発見!早速ボレクとコーヒーを買って、軽い朝食。やっぱり美味しい・・。
さて、今日の目的はもちろん街歩き。大人中心の旅だから、特に何も決めていない(というのは、半分嘘だが)。ここミッドタウンから、ぶらぶら歩き始める。気になる店があると入ったりなんてことをしながら。高級な5Avも南下するに連れて、雰囲気が変わってくる。途中ユダヤ系デリの老舗Eisenberg’s Sandwich Shopが見えて来る。相変わらずの人気だ。パストラミサンドイッチが食べたいなぁ・・横目で見ながら通り過ぎる。
7Avに入り、私の中での目的地を発見。モスクワから来たファーストフードチェーンTeremokである。選んだ理由は料理というより仕事上の興味本位からで、アメリカにやって来るロシアのファーストフードに興味があった。なのでグルメというより、視察的理由で立ち寄って見た。基本的には、スープとブリヌイというロシアのクレープがメインだった。黒人の若い男の子が料理をしているのを見てると、いまいちロシアという気分にはなれなかったが、酸味がある料理を食べたら、一気にその気分も吹き飛んだ。不味くもないけど、それほど美味しくもなかったが、ロシアの気分は味わえた気がする。それにしても、トルティーヤ、ピタサンド、カティロールと薄い生地に何かを挟む系の料理は強いですね、というのが感想かな。何となく暗くなった気分を盛り上げるため(やっぱりロシアだったのかな)、ビレッジへ向けて急ぐ。
14丁目を超えると急にビレッジらしく活気が出て来る。Murray’s Bagelsを見たら、無性にベーグルが食べたくなって、クリームチーズを挟んだベーグルとコーヒーをみんなでシェアした。やっぱりこういうベーシックな食べ物は、美味しい!・・と一人でモグモグ食べていると、主人が日本のスーパーを発見。このあたりはアート系の学校が多いからか、昔から日系のカフェやレストランが多かったが、今でもそうなのかな。やはりビレッジは発見が多い!
グリニッジビレッジに入って、Stumptown Coffeeでコーヒー休憩。子供達にもディカフェコーヒーを買って、たっぷりミルクと砂糖を入れたら、大喜び。大人の旅だから、こうなる。そして子供達の充電のため、近くにあるワシントンスクエアパークでちょっと休憩(本当は、大人達のためかもしれない・・)。パフォーマーがいたり、バレーボールをしたりと、とても賑わっていた。
休憩が終わると、全然お腹がすいてなかったが、これまた私の視察目的で、インドのSoho Tiffin Junctionへ立ち寄った。インド版ファーストカジュアルレストランで、今人気のカスタマイズスタイルだ。この手のインド系は、これから増えるのではというのが、私の予測である。色鮮やかで、どことなくエキゾチックでヘルシー。そしてかなりアメリカナイズされているから、一般のアメリカ人でも食べやすい。実際に食べてみると、やはり想像通りの味。ここまでアメリカナイズされたインド料理が美味しいわけがない。でも内容的には面白かったので、まずまずとする。
さらに南下してソーホーに入る。La Colombeで主人がコーヒーを買っている間に、おきまりのT2でお茶のサンプルを楽しむ子供達。義理母の誕生日プレゼントを購入。東に曲がって、ノーリタへ。家族と一緒だから買い物はタブーなのは知ってるけど、大好きなこの店は外せない。Le Labo’s。香水の店。ピュアなエッセンスをブレンドしてカスタムの香水を作ってくれる店内は、いつも混み合っている。ここの香水の香りは、1日たっても消えないで残っているから、ずっとうっとりした気分に浸れるのが嬉しい。ボストンにも日本にも店舗があるけど、見かけたらいつも入ってしまう。いつか買って見たいと思いながら、もう先に歩き出している家族の元へ走った!
ちょっと退屈気味な息子たちにParisi Bakeryでスナックをと思ったら、もう閉まりかけている。でもお店の人が、クラッカーのようなパンを袋に入れて、子供達に手渡してくれた。お腹が空いてたからか、インド料理が不味かったからか、タダだったからか、素朴な味がとても美味しい!一体これが何なのかわからなかったけど、後を引く味だった。
ジャズ
4:00 pm
そうこうしているうちに、夕方4時近くになって来た。いよいよ今回の一番の見どころ、ジャズ!実は今回の旅のアイデアは、全てこのジャズから始まったのだった。毎回マンハッタンに来る度に、子供がいるからジャズを聞けないことを残念に思っていたのだが、色々調べるとウエストビレッジのSmallsは、子供もウェルカムという事実を知った。子供を一緒に連れて行くという発想はなかったので、驚いたと同時に、早速行って見たくなりこの旅を企画したのだった。でも少し心配だったので、夕方の早めの時間を選んで、やって来た。
中に入るとやはりガラガラで、少し安心した。ここは夜来るといつもギュウギュウなので、その辺りが不安だった。欲を言えば、ここまでガラガラでなくても良かったのだが、でもだから近くで見られたし、ビレッジらしく途中で色々なゲストミュージシャンが飛び入り参加して、盛り上がった。子供達もちょっとスペシャルな気がしていたのか、まんざらでもなく(ちょっと緊張してたかも)、2回目のセッションの途中まで聞き入った。最近父親になったというパフォーマーが、ちょっと子供にフレンドリーな曲を混ぜてくれたりというサービスもあって、夜のパフォーマンスよりカジュアルな感じで良かった。帰る頃には、会場はほぼ満員だった。長い間心温めていた計画を、無事に楽しくおえることができ、満足感と達成感でいっぱいで、ビレッジを後にした。
6:00 pm
タイムズスクエアのホテルへ戻る私と次男。主人と子供達2人はアッパーウエストサイドに車を取りに行き、途中で落ち合った。マンハッタにいた時間が、約24時間だなんてとても信じられないくらい充実した時間を過ごすことができたことに満足している自分。車に乗ると、WBGOステーションから流れるジャズをバックグラウンドに、窓から見える街の景色を楽しんだ。
8:00 pm
さて私たちの旅、終わりに近づいているが、実はまだ終わりではない。今日のハイライトとも言えることが(私にとっては)残っていた。これからクイーンズのヒンズー寺院にあるレストランGanesh Temple Canteenへ向かうのだ。ずっと行きたかったけど、不便な場所にあるため、なかなか来るチャンスがなかったこのレストラン(というか食堂)は、南インド料理のドサがメインのベジタリアンレストランである。ドサと言っても種類がとても多く、着いてみてその種類の多さに驚いた。ほぼ全員インド人の中、私たち家族もいろんなドサを注文し、テーブルについた。移民が多いニューヨークとはいうものの、ここまでの異国体験ができるのは、本当にすごい!インドにいるよりインドを感じる瞬間だった。どれも美味しくて、昼間食べたアメリカナイズされた味とは、程遠い味の深さだ。慣れない味ながらも、この雰囲気に吸い込まれて、ちょっと緊張気味に食べている子供達。最後の最後まで、大人の旅に付き合ってくれて、ありがとう!
9:30pm
車に乗り込み、いよいよボストンへ帰る時間が来た。腹が立つ日も多いけど、こうやってヒンズー寺院の地下まで来て食べたい私に、一緒に付き合って楽しんでくれる息子達を今日はちょっと見直した。何と充実した1泊旅行だったんだろう。というわけで、大人中心の旅は、大成功に終わった。めでたしめでたし!
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