Photo courtesy of thomaskeller.com
ついに憧れのレストランに行ってきました。かのトーマスケラーの三ツ星レストランPer Seです。たいして彼のことを知っているわけではありませんが、初めてメディアを通して目にした時から食に対しての愛情深さと控えめっぽい感じのするところが好きでした。そしてもう1つ、レストランで働きながらここまでの道をつかんだという事実に惹かれました。
初めて存在を知ったのは、ずっと昔にマンハッタンの本屋さんで彼のカリフォルニアのレストランFrench Landryの料理本を目にしてからです。当時はそんなレストランの存在すら知りませんでしたが、そこに載っている料理全てがとても素敵で、一瞬その本を購入しようとまで思いました。でもどれ一つとってもソースを作っているだけで1日が終わってしまいそうなくらい全てに手がかかっているので、買うのを断念した覚えがあります。唯一持っている本が映画『レミーのおいしいレストラン』(Ratatouille)のためにレシピを提供したのをきっかけに書いた子供向けの料理本です。実は彼の本当は知らずにあまりにかわいいので子供用に買ったのですが、どれを作ってもとても美味しいのでよく調べてみたらトーマスケラーの本でした!
前書きが長くなってしまいましたが、その噂のレストランはマンハッタンのTimes Warner Center4階にあります。重々しいドアを開けて入る店内は吹き抜けの天井まで続いた窓からセントラルパークが見下ろせ、その窓の真ん中には暖炉があって焚き火がまるでアートのように燃えています。そんな景色を見ながら、テーブルにつき、メニューを開くと、コースは普通のコースとベジタリアンのコースの2種類($310税金込み)のみ。そしてベジタリアンメニューにディスカウント無しときています。「さすが!」としか言えませんでした。一般コースはラムもロブスターも入っているのにも関わらず…。どちらにしようかさんざん迷ったあげく、同伴された方たちが一般コースをオーダーされたので、思い切ってベジタリアンを頼んでみることにしました。コースには、マッシュルームの香りがするほうれん草とか、みたことのないハーブなどとにかくめずらしい素材がいっぱいで、ラムやロブスターよりも高級かもしれないなっと、途中でその値段にも納得しました。
さてお味の方ですが、なかなか一言には表現できませんというのが正直なところです。ここまでの料理になると食後の感想がラーメンや焼肉を食べた後とはちょっと違ってくるのです。味のハーモニーが複雑で計算高い料理は、時間差で口の中に広がる味や食感、デリケートな香りなどを楽しんでいく料理です。一品一品の説明をウエイターから聞いているだけで目が回りそうになる程手のこったこれらの料理は、食事というより『食べるアート』に近いものがあります。なのでレストランを後にした後も「食った食った、美味しかった!」という気持ちより、食べたものを頭の中で思い出して消化するので精一杯という気分です。どちらかというと現代ミュージアムに行って、刺激をもらって満足したという感覚に似ているかもしれません。なので、このレストランは絶対に全ての方におすすめできるレストランではありません。味が理解できるかできないかというより、そういった新しい味や食の経験を求めているかどうかです。特に値段が値段ですので、批判的になる方もきっと多いのではと想像できます。あまり役立つレビューではないですね…。私個人的には楽しませてもらいました、というのが感想でしょうか。
Leave a Reply