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今年の夏にオハイオ州からミシガン州にかけて旅した際、途中にあるアーミッシュ(Amish)の暮らす町をどうしても訪れたく、時間がないのは知っていましたが、車窓から景色を見るだけでもと少し遠回りしながらミラーズバーグ(Millersburg)という町にホテルを1泊予約しました。ところが予定が大幅にずれてしまい到着したのは夜の11時。辺りは真っ暗で途中の景色どころではなく、がっかりしてしまいました。でもやはりここまで来たのにと諦めきれず、次の日も早朝出発予定だったので、思い切って1人で朝5時半に起きてドライブすることに決めました。
アーミッシュとはドイツ系移民の宗教集団で、アメリカやカナダなどに宗教の自由を求めてやってきました。電気や電話など現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を基本に農耕や牧畜を行い、自給自足の生活を営むというのが基本のようですが、現在はどこまでこれを守るかはコミュニティーや家庭にもよるようです。
初めてアーミッシュを見かけたのは、昔シカゴからニューヨークまで帰る途中、ちょうどこの近くのハイウェーを運転していた時でした。真っ黒の服を着た男性が馬車を走らせていたのが遠くに見え、明け方近かったので一瞬自分の目を疑ってしまいました。その後フィラデルフィアのレディングマーケットで民芸品や手作りの食料品を売っているのを見かけたのが最後でした。
今回訪れたオハイオ州のベルリン(Berlin)からミラーズバーグにかけては、アメリカで最もアーミッシュが多く暮らす地域というだけあり、彼らの経営しているレストランや工芸品の店、手作りチーズの店、ベーカリーなどがそこら中にあります。ただ個人的にはこうしたお店ではなく、実際の暮らしの様子に興味があったのですが、検索してもそんな情報は当たり前ですが出てきません。
そこでどうしたかというと、アーミッシュの家を見学できるというツアーを見つけたので、その周辺をドライブすることにしました。道の選択があれば、とにかく細い方へ、アスファルトではなく砂利道へという感じにどんどん道の悪い奥地に迷い込んで行きました。
そうな感じでドライブをしていると、突然馬を何頭も引き連れた小学生くらいの男の子と高校生くらいの男の子が目の前に現れ、思わず急ブレーキを踏みました。でも彼らはまるでこちらの存在には気づかないかのように、右左を確認すると丘の上へ向かって歩いて行ってしまいました。オーバーオールに麦わら帽子の子供なんて、映画でしか見たことないかも・・。あまりにも非日常的な景色に、しばらくその場から動けずにいました。
ドライブを再開すると、今度は遠くから1つの光が勢いよくこちらに向かって来ます。何かと思ったら、電動自転車が猛スピードで通り抜けて行きました。子供が学校にでも行くのでしょうか?前を見るとさらに何台もこちらへ向かって来ます。黒い馬車もいくつかすれ違って行きました。ラッシュアワーでしょうか。
アーミッシュの家や農家はすぐに外からわかります。というのも外観どれをとっても変に手が加えられてなく自然な感じがするからです。黒や紺のドレスやシャツなど洗濯物が干してある家も多く、服がシンプルで色が統一されているので、とても絵になります。
こんな感じで朝靄の中をあてもなくのんびりとドライブし、アーミッシュの生活を少しのぞかせてもらいました。奥へ奥へ向かって行ったため最終的にGPSが使えなくなってしまい、学校へ向かうアーミッシュの女の子達に道を聞きながら、ミラーズバーグへ戻って来たのは8時半。
やはり正面から写真を撮るのは抵抗があったので写真は少なめですが、なんとなく雰囲気は伝わったと思います。人の生活をのぞくのってどうなの?と疑問に思ったりもしたのですが、暮らしを見せてくれるツアーもあることだし遠くから見るだけだったらと早朝ドライブしてきました。朝靄の中舗装されていない道を運転していると、全てが幻想的で本当に素敵でした。
ホテルに予定通りの時間に戻ると、起きたばかりの家族と一緒に朝食を食べましたが、頭の中はまだ少し朝靄がかかった状態でした。ミシガンへ向かう車の中でも、今朝見た光景を何度も何度も思い出しながら、自分の世界とかけ離れたこの暮らしのことを思い出していました。何かを学んだというよりは、彼らへのリスペクトの気持ちが強く残ることとなるドライブでした。
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